福富久夫

福富 久夫（ふくとみ ひさお、1921年（大正10年）6月25日生）は、日本の造園分野において、研究者および教育者として顕著な功績を残しました。東京大学で工学博士号（1973年）を取得し、主に千葉大学で長く教鞭を執り、同大学の名誉教授の称号を授与されました。また、日本大学でも教授を務めるなど、後進の育成に力を注ぎました。

生い立ちと初期のキャリア

福富氏は東京の品川に生まれ育ちました。旧制の東京府立化学工業学校を卒業後、千葉高等園芸学校（現千葉大学園芸学部）に進み、造園学を修めます。卒業後、軍隊に召集された経験を経て、終戦を迎えます。

戦後は、国の復興事業に携わります。まずは戦災復興院計画局施設課に勤務し、国土の再建に関わる業務に従事。その後、内務省国土計画課を経て、省の再編に伴い建設省計画課に籍を置きました。

教育者としての道

官僚としてのキャリアを経て、1949年9月には文部教官として千葉大学へ移ります。翌年には千葉大学園芸学部の講師に正式に就任し、本格的に教育・研究者としての道を歩み始めます。

千葉大学では、1955年に助教授、そして1973年8月には教授へと昇進します。長年にわたり、造園学の研究と教育の第一線で活躍し、多くの学生を育てました。1986年4月には定年退官を迎え、千葉大学より名誉教授の称号が贈られました。

千葉大学退官後も教育への情熱は衰えず、日本大学の教授として、1991年3月に退職するまで教壇に立ち続けました。

学会活動と社会貢献

教育・研究活動と並行して、造園分野の発展のための社会活動にも積極的に取り組みました。特に、日本の造園界の中心的な存在である日本造園学会では、1985年4月から会長を務め、学会活動の推進に貢献しました。また、造園実務に不可欠な資格である造園施工管理技術検定においては、1984年4月から委員を務め、1988年3月からは委員長として、検定制度の信頼性向上と質の維持に尽力しました。

受賞歴

福富氏の長年の功績は高く評価され、複数の栄誉ある賞を受章しています。

1975年5月: 日本造園学会賞
1976年5月: 日本公園緑地協会北村賞
1983年11月: 産業教育百年記念教育功績者表彰
1997年5月: 日本造園学会上原敬二賞

特に、日本造園学会賞と上原敬二賞は、造園学の研究・教育における卓越した業績に対して贈られる権威ある賞であり、福富氏の貢献の大きさを物語っています。

主な共著書

福富氏は、造園学に関する重要な専門書や教科書の執筆にも関わっており、その知見を広く共有しました。主な共著書としては以下のようなものがあります。

『体系農業百科事典』第Ⅶ巻「造園」（1967年）
『造園設計』（1979年）
『緑の計画』（1985年）
『緑の環境デザイン』（1985年）
* 『改訂 造園施工管理技術編』（1986年）

これらの著作は、多くの造園を学ぶ学生や実務家にとって貴重な資料となっています。

まとめ

福富久夫氏は、官僚としての復興業務、千葉大学・日本大学での教育・研究活動、そして日本造園学会会長や検定委員長といった要職を通じて、日本の造園学の発展、教育水準の向上、そして実務技術の確立に多大な貢献をしました。その生涯は、造園分野の知識の深化と人材育成に捧げられたものであり、その功績は長く記憶されるでしょう。（没年については情報が確認されていません。）

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