福山・多度津フェリー

福山・多度津フェリーの歴史

福山・多度津フェリーは、広島県福山市と香川県多度津町を結んでいた船舶航路です。この航路は、長い歴史を持ち、地元地域の交通手段として重要な役割を果たしてきました。また、前身として尾道 - 鞆 - 多度津航路も存在しており、その概要に関しても触れる必要があります。

航路の発足と変遷

1966年の4月、福山市鞆港と多度津港を結ぶフェリーとして運航が始まりました。このフェリーは、瀬戸内海汽船によって運営され、尾道 - 鞆 - 多度津の航路の一部として位置付けられていました。当時は旅客船が主流でしたが、運航体制の見直しが必要となり、尾道 - 鞆間は分離され、備後商船によって運行されることになりました。

1978年には福山港フェリーターミナルが整備され、発着場所が鞆港から福山港に変更され、新たに福山・多度津フェリーとして再出航することとなります。それから10年後の1988年、瀬戸大橋の開通に伴い、他の交通機関との競合が始まりました。その結果、運航を続ける会社が変更され、広汽船、多度津町、瀬戸内海汽船の三者が出資を行い、福山多度津フェリー株式会社が設立されました。1991年からは、資本の約半分を多度津町が引き上げる決断を行い、せとうち物流株式会社による運航が開始されました。

利用者数の変化

1988年に経営が引き継がれた際には、1日に15往復が運行されており、年間で約25万人、そして車両は約10万6000台の利用者がありました。この当時が利用者数のピークを迎えましたが、その後は瀬戸大橋との競合が影響し、利用者が次第に減少していきました。2007年度には、利用者数は約4万3000人、車両数は約3万5000台にまで落ち込んだのです。

経営陣はこうした状況を受けて便数を削減し、運賃を値上げするなどの対応を取りましたが、残念ながら効果は薄く、2008年には原油価格の高騰も影響し、最終的には同年の7月1日に運行の廃止を伝える届出を中国運輸局尾道海事事務所に提出し、8月31日をもって運航が終了することとなりました。

航路および船舶

福山・多度津フェリーは、廃止時点で39.2kmの距離を運航し、所要時間は約1時間45分でした。また、フェリー化が行われる前の尾道 - 鞆 - 多度津航路では、全線59.2kmにわたる距離を運行し、所要時間は約3時間10分、鞆 - 多度津間は38.7kmありました。

1988年の福山多度津フェリー発足時には3隻のフェリーが運航に使用され、その後は1隻での運航へと移行しました。廃止時点で活躍していた船舶の一例に「おれんじぷりんせす」は、690総トンの旅客定員300名を抱え、大型トラック5台と大型バス5台などを運べる性能を持っていました。

影響と後継

福山・多度津フェリーの廃止は瀬戸内海地域の交通事情に影響を与えましたが、現在も他の航路がその役割を引き継ぐ形で運航されています。このフェリーの歴史は多くの人々にとって大切な思い出として語り継がれており、地域の交通インフラの一部を成していました。今後も類似の航路が継続し、地域の発展に寄与し続けることが期待されています。

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