福島和人

福島和人氏は、1937年（昭和12年）に石川県金沢市で生まれた仏教学者であり、浄土真宗を専門としています。その研究は、近代日本における親鸞の思想に焦点を当て、多角的な視点からその思想的展開を考察しています。

学歴としては、1961年に金沢大学法文学部史学科を卒業後、1963年に大谷大学大学院仏教文化学部修士課程を修了しています。大学院修了後は、教育者として大谷高等学校で教鞭を執る傍ら、大谷専修学院の講師も務めました。また、真宗大谷派教学研究所においては嘱託研究員として、研究活動にも従事しました。

福島氏の著作は、親鸞の思想に関するものが多く、『近代日本の親鸞 その思想史』（法蔵館、1973年）をはじめ、『親鸞思想 戦時下の諸相』（法蔵館、1995年）など、時代背景を踏まえながら親鸞の思想を深く掘り下げた研究書を数多く発表しています。これらの著作を通して、親鸞の思想が近代日本においてどのように受容され、解釈されてきたのかを明らかにしようと試みています。

また、仏教書だけでなく、『雄猫と思いきや』（文芸社、2008年）のような一般向けの著書も手掛けており、仏教の教えをより身近に感じられるような文章で伝えています。共編著としては、『大地の仏者』（能登印刷出版部、1983年）、『魂萌ゆ 暁烏敏の世界』（真宗大谷派宗務所出版部、1986年）、『道ここに在り 高光大船の世界』（真宗大谷派宗務所出版部、2000年）などがあります。これらの著作からは、福島氏が他の研究者や仏教者との連携を重視し、共同で研究を進める姿勢がうかがえます。

福島和人氏の研究は、親鸞の思想を単なる宗教思想として捉えるのではなく、歴史的、社会的文脈の中で捉え直すことを通して、現代社会における仏教の意義を問い直す試みであると言えるでしょう。

もう一度検索