仏教学

仏教学とは

仏教学（ぶっきょうがく、英: Buddhist Studies, Buddhology）は、仏教を中心に研究する学問分野です。近代仏教学としての発展が特に顕著ですが、その起源は釈尊滅後に遡ります。仏教の教義や規則は摩訶迦葉をはじめとした弟子たちによって再確認され、経典や律ととしてまとめられました。この過程で、教義の解釈に関する違いから上座部や大衆部といった主要な派閥が形成され、さらに細分化が進みました。これに伴い、経典に対する解釈も発展し、多様な論が成立しました。

歴史的背景

仏教学の歴史は釈尊滅後に始まり、様々な思想が交錯する中で発展を遂げてきました。特に、空・唯識・中観の思想が進展し、大乗仏教の特徴として利他の意識が強調されました。この時期には、空や如来蔵などの哲学的な概念が各地域に伝播し、地域ごとに独自の体系が形成されました。

中国においては、経論が翻訳され、どの経典が優れているかを比較する教相判釈の学問が盛んになりました。日本にもこの影響が及び、南都六宗や密教、禅宗を通じて独自の宗派が形成されていきます。しかしこれらの教団は、政権に対抗する力を持つまでに成長し、結果として徳川幕府による管理下に置かれることとなります。この時期には寺社の管理が厳格化され、僧侶養成機関である檀林が各地に設立されるなど、教学・宗学が発展しました。

近代仏教学の成立

近代の仏教学は、主に西洋の植民地支配を背景に発展を遂げました。従来はキリスト教の宣教師により伝えられた仏教が、知識人たちによって文献学や史学的手法で研究されるようになります。ヨーロッパでは文学的、歴史的アプローチから仏教が研究され、またフランスのオリエント趣味により漢文の仏典の研究も行われました。

日本でも、明治維新の影響で仏教界が変革を求めた結果、宗門大学の設立や優秀な僧侶の欧州留学が進み、近代仏教学の導入がなされました。特に、東京帝国大学では梵語学や印度哲学の講座が開設されたり、鎖国期のチベットとの交流が始まったりしました。

応用仏教学の登場

その後、日本仏教学会は1945年に改組を試み、日本印度学仏教学会が設立されました。心理学や民族学など新たな手法を用いて仏教を研究する「応用仏教学」が登場し、経営学や経済学、心理療法においても仏教思想の取り入れが進みました。

参考文献

仏教学に関連する文献も多く、たとえば鷹谷俊之の『仏教学の系譜』や金岡秀友の『仏教学の方法論について』等が重要とされています。また、近代日本における仏教と神智学との関連についても多くの研究が行われており、仏教学の領域は広範にわたっています。

このように、仏教学は長い歴史を持ち、時代ごとに様々なアプローチがなされてきた学問です。

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