福島洋上風力コンソーシアム

福島洋上風力コンソーシアムとは

福島洋上風力コンソーシアムは、福島県沖合での浮体式洋上風力発電の実証試験を行うために設立された組織です。東日本大震災からの復興を目指し、再生可能エネルギーの導入を推進する福島県の取り組みの一環として、重要な役割を担いました。

プロジェクトの概要

コンソーシアムは、段階的に実証試験を進めました。

第1期工事：福島県沖約20km地点に、出力2MWのダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基と、66kV浮体式洋上サブステーションを建設しました。
第2期工事：世界最大級となる7MW油圧ドライブ式浮体式洋上風力発電設備を設置し、より大規模な実証試験を実施しました。

これらの設備を通じて、浮体式洋上風力発電の技術的な課題や実用化に向けた可能性を探りました。

構成メンバーと役割分担

コンソーシアムには、様々な企業・団体が参加し、それぞれの専門性を活かしてプロジェクトを推進しました。

丸紅：プロジェクトインテグレーターとして、事前協議・許認可取得、維持管理、漁業との共存などを担当。
東京大学（石原孟教授）：テクニカルアドバイザーとして、観測予測技術、航行安全性、国民との科学・技術対話などを担当。
三菱商事：系統連系協議、環境影響評価などを担当。
三菱重工：7MW風車用のV字型セミサブ浮体を担当。
ジャパンマリンユナイテッド：アドバンストスパー浮体、浮体サブステーションを担当。
三井造船：2MW風車用のコンパクトセミサブ浮体を担当。
新日鐵住金：高性能鋼材の開発を担当。
日立製作所：洋上変電所の開発を担当。
古河電気工業：大容量ライザーケーブルの開発を担当。
清水建設：海域調査、施工技術を担当。
みずほ情報総研：浮体式洋上風力発電に関する情報基盤整備を担当。

試験の経緯

2012年3月：経済産業省より浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業（第1期実証研究事業）を受託。
2013年11月：楢葉町の沖合で2MW風車「ふくしま未来」を設置し、実証研究を開始。
2015年12月：7MW風車「ふくしま新風」を増設。
2017年2月：5MW風車「ふくしま浜風」を増設。
2018年8月：専門家による総括委員会が実証研究の検証を行い、報告書を発表。2MW、5MW風車の試験継続と7MW風車の撤去などが決定。
2020年6月：7MW風車「ふくしま新風」の撤去作業を開始。風車は鹿児島県谷山港まで曳航後に解体処分。

ふくしま新風

「ふくしま新風」は、7MW級の大型風車であり、浮体式洋上風力発電のコスト削減に貢献することが期待されました。三菱重工が買収したアルテミス社の技術を基に開発され、油圧式の動力伝達系統を採用することで大型化を容易にした点が特徴です。ブレード長は82mに達し、水面から最高点までは187mと非常に高い構造物でした。

しかし、2015年12月の稼働開始後、初期の不具合や技術的な課題が解決に至らず、稼働率は低迷しました。その結果、2018年の実証試験見直しにおいて、試験終了と撤去が決定されました。

浮体式洋上風力発電は、設置場所を選ばないというメリットがある一方で、建設費やメンテナンス費が高額になるという課題があります。福島洋上風力コンソーシアムの取り組みは、これらの課題を克服し、再生可能エネルギーの普及に貢献するための重要な一歩となりました。

関連項目

再生可能エネルギー
東日本大震災
福島第一原子力発電所事故
船舶工学
海洋工学

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