福島県いわき市6人死傷事故

福島県いわき市6人死傷事故について

2021年7月24日午後10時10分頃、福島県いわき市小名浜の県道で、当時18歳の専門学生Aが運転する乗用車が橋の欄干に衝突し、同乗者1名が死亡、4名が重軽傷を負うという痛ましい事故が発生しました。

事故の経緯

Aは当時、友人5人を乗せ、時速157kmという非常に危険な速度で車を運転していました。その結果、車は道路中央の橋の欄干に激突。ポールが車体に突き刺さり、後部座席にいたB（当時18歳）が即死しました。また、他の同乗者も重軽傷を負い、特にラゲッジスペースに乗車していたCは全治3ヶ月の重傷を負いました。

過失運転致死傷罪での起訴

当初、Aは危険運転致死傷罪で逮捕されました。しかし、家庭裁判所は刑事処分が相当であると判断し、検察に逆送。その後、Aは過失運転致死傷罪で起訴されました。この罪状変更について、遺族は検察から「脇見が原因」と説明を受けましたが、Bの父親は「被告人の証言を優先するのか」と強い不信感を表明しました。

裁判と検察の対応への疑惑

2022年7月15日、福島地裁いわき支部で裁判が開かれ、Aには懲役3年・執行猶予5年という判決が下されました。この判決に対し、遺族や同乗者からは大きな不満の声が上がっています。

Aは「スピードを出せとはやしたてたのも、後ろからいたずらをしてわき見の原因をつくったのも、亡くなったBのせい」と供述していましたが、同乗者Cは、はやし立てやいたずらはなく、事故原因はAの速度超過であると証言しました。Cは検察に自ら連絡し、証言を求めましたが、検察はCを証人として採用しませんでした。そして裁判は1回で結審し、「脇見運転」が事故の原因であるという判決が下されました。

Bの母親は、検察に対しCを証人として採用しなかった理由を問いただしましたが、「同乗者には被告がわき見をしていなかったように見えても、被告が目だけを動かしている場合もある」という説明しか得られませんでした。遺族と同乗者は控訴を求めましたが、検察はいわき支部で「過去の判例を見ても、実刑になるのは死亡者が2人以上の事故がほとんど。裁判官の判断には問題がない」として拒否し、控訴を断念しました。

社会への影響

この事故は、危険運転致死傷罪ではなく過失運転致死傷罪で起訴されたこと、また、執行猶予付き判決であったことから、大きな社会問題となりました。また、2022年4月に改正された少年法施行後、福島県内で「特定少年」の審理と判決が出た初の事例としても注目を集めました。

この事故は、速度超過による危険運転の恐ろしさ、そして、裁判における証拠採用のあり方、検察の対応など、様々な問題を提起しました。遺族や関係者の無念を思うと、今後の再発防止に向けた取り組みが重要となるでしょう。

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