福島稲荷神社

福島稲荷神社：歴史と文化が息づく福島市中心の鎮守

福島市宮町に鎮座する福島稲荷神社は、地域住民に深く信仰されている神社です。旧福島城下町の総鎮守として、古くから人々の生活に寄り添い、歴史と文化を今に伝えています。

由緒ある社殿と貴重な文化財

現在の社殿は、明治神宮宝物殿や神田神社本殿の設計にも携わった大江新太郎の設計によるもので、1938年（昭和13年）に竣工しました。その荘厳な社殿は、多くの参拝者にとって印象的な光景となっています。

特に目を引くのは、明治神宮から移築された2基のヒノキの大鳥居です。明治神宮創建時に建立された東玉垣鳥居と西玉垣鳥居で、1966年（昭和41年）に福島稲荷神社へと移設されました。木の色合いを生かした丁寧な修復が施され、創建当時の姿を今に伝えています。また、社殿には、元伯爵甘露寺受長の揮毫による「福島稲荷神社」の扁額が掲げられています。

境内には、福島市で現存する最古の木造建築物である絵馬殿（旧拝殿）も存在します。この絵馬殿は、神社の歴史と建築技術の高さを物語る貴重な文化財です。

御神狐と幾多の災害

境内には、神社のシンボルともいえる「御神狐」と呼ばれるキツネの彫刻があります。1740年（元文5年）に奉納されたと伝えられており、幾度もの災害を乗り越えてきました。2011年（平成23年）の東日本大震災や、2021年（令和3年）、2022年（令和4年）の福島県沖地震で損傷を受けましたが、2021年には修復が完了し、明治時代の修復跡を参考に本来の色に戻されています。

これらの災害では、石灯籠も被害を受けました。特に2022年の地震では、前年に復旧したばかりの灯籠も倒壊するなど、神社は大きな被害を受けました。それでも、関係者の努力により、神社は着実に復旧しています。

歴史を刻む数々の史跡

境内には、歴史的な史跡も数多く残されています。戊辰戦争の引き金となった「世良修蔵事件」の官修墳墓や、福島市指定天然記念物である御神木のニレの大木など、神社の歴史と地域の歴史を物語る貴重な史跡が点在しています。

アクセスと例大祭

福島駅東口から福島交通路線バスももりん1コース上町バス停下車とアクセスも良好です。例祭は10月9日に行われ、体育の日を含む土日祝日に神賑行事が行われます。初詣や例大祭には多くの人が訪れ、賑わいを見せます。

意外なエピソード

1986年2月3日には、フジテレビ系のバラエティ番組『夕やけニャンニャン』の生中継が行われ、おニャン子クラブのメンバーが節分祭に参加したというエピソードも残されています。

まとめ

福島稲荷神社は、歴史、文化、自然が調和した、魅力あふれる神社です。荘厳な社殿、貴重な史跡、そして地域の人々の信仰を集める御神狐など、見どころは尽きません。福島市を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

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