福市得雄

福市得雄の業績とデザイン哲学

福市得雄（ふくいちとくお）は、1951年10月15日に生まれた日本の著名なカーデザイナーである。彼は2011年4月から2018年までトヨタ自動車のデザイン本部長として、企業のデザイン戦略をリードした。特に14代目クラウンのデザインでは明るいピンク色が話題となり、彼の名を広めることに繋がった。任期終了後の2018年からは、トヨタ自動車のチーフブランディングオフィサー（CBO）及びエグゼクティブアドバイザーを務めている。また、多摩美術大学では客員教授として学生への指導を行なっている。

デザインに対する情熱

福市のデザインに対する信念は「デザインには訳があり、スタイルには意味がある」というものである。このモットーのもと、彼はトヨタやレクサスのデザインチームを統括し、国際的な視野を持つデザインを追求している。彼のリーダーシップのもと、トヨタ自動車のデザイン部門にはアメリカ、ヨーロッパを含む17か国からデザイナーが集まり、より多様性のあるデザインアプローチが生まれた。

略歴と影響

福市は1974年に多摩美術大学のプロダクトデザイン専攻を卒業し、同年にトヨタ自動車に入社した。その後、1982年に社名がトヨタ自動車株式会社に変更された。彼は1999年に第3デザイン部の部長に就任し、2003年にはデザイン統括部の部長に昇進した。この頃には初代エスティマや7代目カローラ、初代アルファード、iQ Conceptなど多様な車種のデザインに大きく関与しており、彼が手掛けたエスティマは2度にわたり日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞した。

その後、福市は2004年から2008年までトヨタ自動車のヨーロッパデザインディベロップメントに出向し、国際的な視野を養った。関東自動車工業株式会社への転籍を経て、2011年に再びトヨタに戻り常務役員及びデザイン本部本部長に就任した。ここから彼のデザイン改革が本格的に始まり、レクサスブランドの強化にも貢献した。

レクサスのデザイン戦略

福市は「100人すべてに気に入られるより、10人の熱狂的なファンを作る」ことを重視し、高い技術レベルや先進性に加えて、レクサス独自のテーマを前面に押し出したデザインを展開している。また、プレミアムセグメントに相応しい乗り味を追求し、トヨタがこれまで不得意としていた感情に訴えるデザインにも注力してきた。これにより、レクサスは日本発のラグジュアリーブランドとしての地位を確立するための重要な役割を果たしている。

教育への貢献

2015年からは多摩美術大学の客員教授として学生に対する特別講義を毎年行い、次世代のデザイナー育成にも尽力している。広範な経験と豊富な知識を基にした教育活動は、学生たちにインスピレーションを与える重要な場となっている。

福市得雄の業績と曖昧さのないデザイン哲学は、今後の自動車業界にも大きな影響を与え続けることだろう。

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