福建事変

福建事変（ふっけんじへん）

1933年11月に福建省で発生した福建事変は、地方軍による反乱であり、蔣介石の指導下にある国民党政権に対抗する動きとして起こりました。この事件は、特に国民革命軍十九路軍を中心に展開されました。この十九路軍は、第一回上海事変での戦績により福建に移駐し、共産党勢力を討伐する任務を担っていました。

背景

十九路軍の前身は広東軍第一師団であり、1926年に国民革命第四軍へと改編されていました。この軍は蔣介石の北伐においても大きな成果を上げており、陳銘枢が指揮を執っていました。1930年には中原大戦にも参加し、次第に勢力を拡大していきました。

しかし、1931年の満州事変を契機に、十九路軍は日本軍への対抗策として上海の防衛を命じられました。この時期、南京政府内では蔣介石の対日政策を巡って意見が割れ、内部対立が続いていました。一次上海事変では、十九路軍が日本軍と積極的に交戦しましたが、蔣介石は新たに福建省に移動させ、共産党の掃討を命じます。

反乱の発生

1933年の初頭、福建地域での共産党討伐が難航する中、十九路軍の将軍たちは反蔣勢力を結集し、南京国民党政権に対抗する動きを強めました。特に、蔡廷鍇や蔣光鼐を中心に、反蔣を掲げた福建人民政府の樹立を求める動きが加速しました。この結果、11月20日に福州で「中国全国人民臨時代表大会」が開催され、中華共和国人民革命政府が成立することが決議されました。

しかし、この新政府は他の勢力との関係構築に難航しました。中華人民共産党との提携を模索したものの、内部の権力争いにより進展は見られず、最終的には共産党からも信頼を失うことになります。この反乱は自らの主張を貫こうとするものでしたが、外部からの協力を得られないまま、徐々に厳しさを増していきました。

終息

蔣介石はこの反乱を抑えるため、1934年1月1日に大規模な攻撃を開始しました。圧倒的な兵力と資源を背景に、国民政府軍は迅速に反乱軍を制圧し、1月13日には福州に進駐しました。福建人民政府はわずか50日余りで崩壊し、多くの反乱指導者が香港へ逃亡する形で事変は終結しました。

このような地方軍による反乱は、他の事例と同様に短期間で収束し、むしろ蔣介石の支配を強固にする結果となりました。福建事変は、政治的な緊張を一層高める原因となり、中国の歴史においても重要な転機の一つとして位置づけられています。

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