国民政府

国民政府について

国民政府（こくみんせいふ）は、1925年から1949年までの中華民国において、中国国民党が支配した政府のことを指します。略称は国府（こくふ）で、国民政府の元首は「主席」と呼ばれました。この政府の呼称やその解釈には日本と中国間で違いがあります。日本では、1925年から1949年にかけて国民党が樹立した政権を指し、中国では1925年の広州国民政府から1948年の中華民国憲法の施行までを視野に入れた期間を指します。

国民政府の変遷

国民政府という名称は、しばしばその政府の所在地を基にして使われます。そのため、同じ名称を持つ政府が複数存在しましたが、主要な政府は次のとおりです。1949年までの中華民国は政治的不安定が続き、時には二つの国民政府が並立することもありました。

正統な国民政府

今日の中華民国政府を基準に見ると、ある期間において以下の政府が正統な国民政府として位置付けられます。ただし、これらの中華民国正式政府と広東大元帥府は、一般には国民政府としての扱いを受けませんが、国民政府の前身として考慮されることがあります。

1. 中華民国正式政府 (1921年-1922年) - 孫文による政権で、広東大元帥府の前身です。
2. 広東大元帥府 (1923年-1925年) - 孫文が主導するも国民政府とは称されていませんが、広州国民政府の前身です。
3. 広州国民政府 (1925年 - 1926年) - （主席：汪兆銘）
4. 武漢国民政府 (1926年 - 1927年) - 南京国民政府成立までの一時的な政府。
5. 南京国民政府 (1927年 - 1948年) - 蔣介石が指導し、日中戦争時には重要な役割を果たしました。
6. 武漢国民政府 (1937年 - 1938年) - 南京政府が武漢に遷都した時期。
7. 重慶国民政府 (1938年 - 1946年) - 南京政府が重慶に遷都していた時期の政府。

1947年には中華民国憲法が施行され、1948年には国民政府が中華民国政府に改組されました。この結果、中国ではこの後の国民政府を「中華民国政府」と呼ぶようになりました。一方で、中華人民共和国はこの政府を「台湾当局」として認識しています。

国民政府の歴史

国民政府の歴史は、国共合作から始まります。1926年、蔣介石が指導する中国国民党は北伐を行い、各地の軍閥政権と戦いました。しかし共産党の勢力拡大への警戒から、蔣介石は1927年に上海クーデターを実行し、共産党を弾圧しました。同年には南京国民政府を設立し、直後に武漢国民政府を屈服させました。

蔣介石は1928年に国民政府主席に就任し、「訓政綱領」と「国民政府組織法」を制定しました。その後、彼は経済基盤を確立し、都市の支配層の支持を受けながら安定政権の確立に成功しました。しかし農村部における共産党の活動は依然として問題視され、日本の侵略が迫る中で国内の不満も高まっていきました。

日中戦争と国共内戦

1937年に日中戦争が勃発し、南京が陥落したことで国民政府は武漢、さらには重慶への疎開を余儀なくされました。戦争中、蔣介石は国内の連携の強化を図る一方、自らの権力を維持するために苦心が続きました。1945年の日本降伏後、国共内戦が始まり、蔣介石は憲法を基に新政府を樹立します。しかし、内戦の結果は彼に不利に作用し、最終的に1949年には南京政府が崩壊し、台湾への移転が決定されました。

主な歴史的な出来事とその背景は、国民政府の興亡を示す重要な転機となっています。国民政府の終了は、中華人民共和国の成立によって大きな変化をもたらしました。

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