福田アジオ

福田アジオ：日本の民俗学を牽引した歴史学者・民俗学者

福田アジオ氏（1941年生まれ）は、日本の歴史学と民俗学における重要な研究者の一人です。三重県四日市市出身の彼は、東京教育大学文学部史学科を卒業後、同大学大学院文学研究科修士課程を修了。その後、武蔵大学、国立歴史民俗博物館、新潟大学、そして神奈川大学と、日本の主要な大学で教鞭を執り、長年にわたって後進の育成に尽力しました。

彼の専門は歴史学と民俗学、特に柳田國男の研究においては第一人者として広く知られています。柳田國男の思想や方法論を深く理解し、現代社会における民俗学の役割を多角的に考察することで、日本の民俗学研究に多大な貢献を果たしました。

福田氏の研究活動は、単なる学術研究にとどまりません。彼は、フィールドワークを重視し、日本各地の村落を調査。その成果は、数多くの著書や論文に結実しています。その著作は、学術的な厳密さと同時に、平易で読みやすい文章で知られ、専門家だけでなく一般の人々にも広く読まれています。

主要な経歴

1963年：東京教育大学文学部史学科卒業
1971年：東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了
1977年-1984年：武蔵大学助[[教授]]・教授
1984年-1993年：国立歴史民俗博物館教授
1993年-1998年：新潟大学教授
1998年-2011年：神奈川大学教授、同大学「非文字資料研究センター」センター長（～2010年）
2012年-2017年：柳田國男記念伊那民俗学研究所所長

主な著書

福田氏の著作は多岐に渡り、日本村落の構造、民俗学の方法論、柳田國男の研究、近世村落、歴史研究の方法論など、幅広いテーマを扱っています。代表的な著作には以下のものがあります。

『日本村落の民俗的構造』（弘文堂、1982年）
『日本民俗学方法序説 柳田国男と民俗学』（弘文堂、1984年）
『柳田国男の民俗学』（吉川弘文館、1992年）
『番と衆 日本社会の東と西』（吉川弘文館、1997年）
『近世村落と現代民俗』（吉川弘文館、2002年）
『歴史探索の手法―岩船地蔵を追って』（ちくま新書、2006年）
『日本の民俗学　「野」の学問の二〇〇年』（吉川弘文館、2009年）
『現代日本の民俗学 ポスト柳田の五〇年』（吉川弘文館、2013年）
『民俗学に学んで六〇年 純粋培養民俗学徒の悪戦苦闘』（大河書房、2018年）
* 『種明かししない柳田国男 日本民俗学のために』（吉川弘文館、2023年）

これらの著書は、民俗学研究者のみならず、歴史学、社会学、文化人類学など、多様な分野の研究者や学生に広く読まれ、高い評価を得ています。

影響と評価

福田アジオ氏の研究活動は、日本の民俗学研究に大きな影響を与えました。2010年には、東京大学東洋文化研究所で「《討論》福田アジオを乗り越える―私たちは『二〇世紀民俗学』から飛躍できるのか？―」というシンポジウムが開催されたことは、彼の研究の重要性と影響力の大きさを示しています。彼の研究は、現代社会における民俗学のあり方、そして歴史学・民俗学研究における方法論の確立に大きく貢献しました。彼の多様な著作は、民俗学研究の基礎をなす重要な資料として、今後も長く読み継がれていくことでしょう。

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