福音バプテスト宣教団

福音バプテスト宣教団

福音バプテスト宣教団（ふくいんバプテストせんきょうだん、英語名: Japan Free Will Baptist）は、日本において活動を展開するキリスト教プロテスタントの団体の一つで、バプテスト派に属しています。

歴史と形成

この団体の起源は、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュヴィルに本部を置くフリーウィル・バプテスト海外宣教本部の日本への宣教活動に遡ります。第二次世界大戦後の混乱期を経て、日本の精神的・霊的再建に寄与することを目指し、同本部から宣教師が派遣されることになりました。

宣教開始

1954年（昭和29年）10月、ウェスレー・カルバリー夫妻が宣教師として来日しました。彼らは日本の地でフリーウィル・バプテストの信仰と教えを伝え始めるため、宣教の第一歩を踏み出しました。

本格的な宣教活動は、1956年（昭和31年）に北海道で開始されました。具体的には、当時の網走支庁管内（現在のオホーツク総合振興局管内に該当する地域）において、最初の伝道活動が行われました。比較的キリスト教の伝道が進んでいなかった開拓地に近いこの地域が選ばれた背景には、新たな福音の種を蒔くという宣教の意図があったと考えられます。

北海道での活動と並行して、その後、日本の中心地である関東地方においても開拓伝道が進められました。都市部やその周辺地域への伝道拡大は、より多くの人々に福音を届け、教会を設立していく上で重要なステップでした。

組織の設立

北海道での宣教活動が進展し、現地の日本人信徒による教会が形成されるにつれて、組織的な連携と活動の推進が必要となりました。こうした背景のもと、1963年（昭和38年）3月10日、北海道内の日本人教会を中心に、「福音バプテスト宣教団北海道地区」が正式に設立されました。これは、宣教活動の主体が日本人教会へと移管・強化されていく過程を示す重要な出来事でした。

北海道地区の設立に続いて、関東地方で形成された教会群においても組織化が進み、「関東地区」も設立されました。これにより、福音バプテスト宣教団は、北海道と関東という二つの主要な地域を拠点とする日本のバプテスト派団体としての体制を整えました。

特徴（情報に基づく推測を含む）

「フリーウィル・バプテスト」という名称は、「自由意志」を意味しており、個人の信仰における自由な選択や責任を重視するバプテスト派の一潮流であることを示唆しています。バプテスト派一般に共通する特徴として、聖書の権威を重んじ、信仰告白に基づいた信者のバプテスマ（浸礼）を行うことなどが挙げられますが、福音バプテスト宣教団もこれらの基本的な信仰理解に立脚していると考えられます。

設立以来、同宣教団は地域社会における福音伝道、信徒の育成、そして地域に根差した教会活動を通じて、キリスト教の信仰を広める働きを続けています。

（本稿は、主に『日本キリスト教歴史大事典』および『キリスト教年鑑』に基づき記述しています。）

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