私が私であるために

私が私であるために（わたしがわたしであるために）

日本テレビ系列の単発ドラマ枠『ドラマ・コンプレックス』内で、特別企画として制作・放送されたテレビドラマです。2006年10月10日の夜にオンエアされました。性同一性障害（GID）という主題を扱った作品として注目を集めました。

このドラマの大きな特徴は、性同一性障害を持つ当事者たちが俳優として出演し、物語の中で同じ苦悩を抱える役柄を演じた点にあります。これにより、テーマに対するリアリティと深い洞察が作品にもたらされました。放送当時の視聴率は7.8％と際立った数字ではありませんでしたが、性同一性障害に対する社会的な理解を促す内容が高く評価されました。

作中で使用された中村中が歌う楽曲「友達の詩」は、ドラマ放送前から話題となり、放送後にはロングヒットを記録するに至りました。この楽曲はドラマの世界観と共鳴し、多くの視聴者の心を打ちました。

ドラマは放送後もその影響力を広げ、2007年2月21日にはバップよりDVDがリリースされました。さらに同年7月14日には、第16回東京国際レズビアン＆ゲイ映画祭でも上映され、幅広い層に作品が届けられました。

ストーリー

物語の主人公は、大学生のひかるです。彼女には、友人たちにも打ち明けられない秘密がありました。それは、生まれながらにして性同一性障害を抱えているという事実です。体は男性として生まれてきましたが、心の性は女性でした。

ある日、ひかるは姉のいぶきに性別適合手術を受けたいという思いを打ち明けます。いぶきの提案もあり、父親の誠一の誕生日に、家族全員に真実を告白する決意を固めます。ひかるは、いぶきと母親の典子と共に、心を込めて父の誕生日を祝う料理を用意しました。しかし、女性の装いをしたひかるを見た父親の誠一は激しく動揺し、親子の間に深い溝が生じてしまいます。また、交際していた智からは「子供の顔が見たい」と言われ、別れを告げられます。

同じ性同一性障害を持つ凛が、自身の夢の実現に向けて着実に歩みを進めている姿を見て、ひかるは自身の思いを周囲に理解してもらおうと奮起します。しかし、そんな矢先、偶然街で遭遇した元恋人の現在の配偶者であるあゆみから、自身の存在そのものを否定されるような言葉を投げかけられます。その場を目撃していた智からも軽蔑の視線を向けられ、ひかるは深く傷つきます。

さらに、ひかるが性同一性障害であることを知った姉・いぶきの婚約者である亮太は、いぶきとの婚約を一方的に破棄してしまいます。次々と降りかかる困難と、依然として理解を示そうとしない父親・誠一に対し、追い詰められたひかるは「私を殺して」と泣き叫ぶのでした。

キャスト

朝比奈ひかる：相沢咲姫楽
朝比奈誠一：橋爪功
朝比奈典子：竹下景子
朝比奈いぶき：浅見れいな
森村智：中村俊介
武居亮太：鳥羽潤
篠原あゆみ：雛形あきこ
蓮見凛：中村中
田村医師：原日出子
渡部医師：名高達男 （特別出演）
殿村一輝：青山草太
広瀬：益岡徹
ami：竹内亜美
看護師：磯野貴理子
他

スタッフ

脚本：川嶋澄乃、上川伸廣
監督：上川伸廣
マジック指導：ナポレオンズ
医療監修：岩尾光浩（西新宿メンタルクリニック）
協力：山本蘭（gid.jp代表）
制作協力：テレパック

音楽

劇中歌：中村中 「友達の詩」 （avex trax）
エンディングテーマ：米米CLUB 「君を離さない」 （ソニー・ミュージックレコーズ）

外部リンク

ドラマコンプレックス 特別企画 「私が私であるために」
* gid.jp - 性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会

もう一度検索