秋ヶ瀬取水堰

秋ヶ瀬取水堰（あきがせしゅすいぜき）

秋ヶ瀬取水堰は、埼玉県さいたま市桜区と志木市の境界を流れる荒川に設けられた可動堰です。河口から約35km上流に位置し、荒川における最下流の堰として知られています。

概要

この堰より下流の荒川は汽水域となり、潮汐の影響を受けます。過去には、東日本大震災の津波がこの堰に到達したこともあります。

独立行政法人水資源機構が管理しており、利根川から武蔵水路を通じて導かれた水を、東京都水道局の朝霞浄水場と三園浄水場、そして埼玉県営の大久保浄水場へ送水する重要な役割を担っています。また、新河岸川や隅田川の浄化用水も供給しています。

構造としては、右岸に宗岡取水口があり、そこから約500mに及ぶ管理橋が伸びています。堰の形式は、長さ127mで、調節ゲート1門（幅10m、高さ6m）、洪水吐ゲート3門（幅34m、高さ6m）、魚道1箇所を備えた上下可動式です。

歴史

1963年3月28日、東京都と埼玉県の人口増加に対応するため、「利根川導水路建設事業に関する事業実施方針」が国から指示され、埼玉県足立町（現・志木市）の荒川本流に可動堰と取水口が計画されました。同年夏頃には、隅田川を浄化する水路を朝霞水路に追加するよう指示があり、水道専用水路から設計変更が行われました。

1964年には、水資源開発公団（現・水資源機構）によって秋ヶ瀬取水堰が完成し、同時に宗岡取水口も完成しました。同年8月25日には通水式が挙行され、1965年から管理が開始されました。

2011年10月11日以降、取水堰付近の荒川下流側でゴマフアザラシが出没し、多くの人が集まりました。その後、志木市が「志木あらちゃん」という名前で特別住民票を発行しました。

問題点

志木市側は釣りの名所として知られていますが、放送による警告がなされることがあります。これは、禁止区域への立ち入りを防ぐためです。また、調節ゲート付近は流れが速く、過去に死亡事故が発生しているため、注意が必要です。

堰の上流側と下流側では約2.5mの水位差があるため、船の通行ができません。災害時の物資運搬などを考慮し、閘門の設置が検討されましたが、水量の保持と莫大な費用がかかることから、計画は白紙となりました。

周辺環境

1979年に秋ヶ瀬取水堰付近で実施された魚類調査ではギンブナが、1985年の調査ではウグイが優占種でした。河川敷は左岸側に広く、レクリエーション施設が設けられています。右岸上流側は、羽根倉橋にかけて水田などの農地が広がっています。

周辺には、以下の施設や名所があります。

田島ヶ原サクラソウ自生地（さいたま市営さくら草公園）：国の特別天然記念物
秋ヶ瀬公園
荒川第一調節池（彩湖）
秋ヶ瀬橋
昭和水門・さくらそう水門
浦和ゴルフクラブゴルフ場
荒川サイクリングロード

また、秋ヶ瀬取水堰は、特撮テレビドラマなどのロケ地としても利用されています。

快傑ズバット：第19話「悲恋 破られたラブレター」のロケ地として登場

かつて存在した浦和飛行場（秋ヶ瀬飛行場、秋ヶ瀬浦和飛行場とも呼ばれた）は、荒川の河道直線化と秋ヶ瀬取水堰の建設に伴い、敷地の大部分が失われました。

参考文献

埼玉県『荒川 自然』（荒川総合調査報告書1）、1987年3月25日。

関連項目

河川総合開発事業
利水
浦和飛行場

外部リンク

独立行政法人水資源機構利根導水総合事業所
ライブカメラ

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