秋田市八橋運動公園硬式野球場
秋田市八橋運動公園硬式野球場は、秋田県秋田市の八橋運動公園内に位置する野球場です。地元では秋田市八橋野球場とも呼ばれ、2016年4月1日からは秋田魁新報社が命名権を取得し、「さきがけ八橋球場」の愛称が使用されています。施設は秋田市が所有し、秋田市教育委員会スポーツ振興課が管理運営を担っています。
この球場は1941年9月、「秋田市営八橋球場」として開場しました。第二次世界大戦後、八橋球場は秋田県における野球の中心的な役割を果たし、高校野球や社会人野球などのアマチュア公式戦が現在も行われています。かつては2002年までプロ野球公式戦も開催され、特に秋田県出身の落合博満氏がロッテオリオンズに在籍していた時期には、同球団主催のパシフィック・リーグ公式戦がほぼ毎年開催されていました。
開場当初のグラウンドは、両翼90m、中堅112mと現在の基準から見るとかなり狭く、特にプロ野球においては本塁打が出やすいという問題がありました。そのため、秋田市は球場完成から50周年を迎えるにあたり、1990年に大規模な改修工事を実施しました。この工事では外野の拡張やスコアボードの改築が行われ、1991年シーズンから供用を再開。改修後のグラウンドは両翼100m、中堅122mとなり、プロ野球開催規格に適合するサイズとなりました。なお、改修期間中の1990年に予定されていたプロ公式戦は、旧秋田県立球場で代替開催されています。
プロ野球の公式戦は、ロッテだけでなく、オリックス・ブルーウェーブや広島東洋カープなども主催試合を開催していました。しかし、八橋球場は開場当初のスタンドを増改築しながら使用していたため、施設の老朽化や手狭さが目立ち、さらに幹線道路に面している立地のため、大規模な改修やプロ野球のナイター開催に必要な照明設備の設置が難しい状況でした。また、バックネット裏や内野席のほとんどがベンチタイプの座席であったため、プロ野球などで指定席を設定することが困難で、内野スタンドは「全席自由」とされるケースがほとんどでした。ロッカールームなどの選手控室も非常に狭く、選手がスタンド外で着替えを余儀なくされることもあり、こうした施設の不備はプロの選手や関係者から不評を買っていました。次第に八橋球場は、プロ野球の開催に適さない状態になりつつあったのです。こうした状況に対し、県内の競技団体や市民団体は、八橋球場の改築や新しい市営野球場の整備、さらには移動照明車によるナイター開催を市に求め、署名や募金活動などの働きかけを行いました。
2003年、秋田県は市街地西側の向浜地区に秋田県立野球場（こまちスタジアム）を完成させました。これは老朽化が進んでいた旧秋田県立球場に代わる施設として整備されたもので、25,000人の収容能力を持ち、プロ野球に対応できる照明設備も備えています。これに伴い、八橋球場でのプロ公式戦開催は2002年シーズンをもって終了。以降は高校野球、社会人野球などのアマチュア公式戦や一般利用に供用されるようになりました。
プロ公式戦は終了したものの、八橋球場の老朽化や手狭さは依然として課題であり、アマチュア公式戦を開催する上でも多くの問題点がありました。また、2007年に開催された第62回国民体育大会（秋田わか杉国体）の会場として使用することも決まっていたため、根本的な対策が必要とされました。このため、秋田市は2005年の全国高等学校野球選手権秋田大会終了後から、再び大規模な改修工事を実施しました。この工事ではメインスタンドと一・三塁側スタンドが全面改修され、外装の補修、ロッカールームなどの諸室の拡張が行われました。また、全ての座席が交換され、通路の拡幅やトイレなどへのスロープ設置といったバリアフリー対応も施されました。スコアボードもLED付き磁気反転式に刷新されるなど、施設全体の充実が図られました。この改修により、収容人員は以前の19,560人から16,421人に減少しましたが、2006年シーズンから供用を再開しています。
2015年11月には、秋田魁新報社が命名権を取得し、2016年4月1日より3年間の契約で「さきがけ八橋球場」の愛称が使用されることになりました。2017年5月16日には、当球場としては15年ぶりとなるプロ野球公式戦、東北楽天ゴールデンイーグルス対北海道日本ハムファイターズ戦が予定されていましたが、球場が交通量の多い道路に面しているため、ファウルボールが場外の人や車に当たる懸念が指摘されました。当初、安全対策としてクレーン車でネットを設置する案も検討されましたが、強風時の危険性が払拭できないとして、試合開催地は秋田県立野球場に変更されました。
2022年7月、野球伝来150周年を記念して、日本野球機構などが選定した「日本野球聖地・名所150選」に、秋田県から八橋球場と大仙市のかみおか嶽雄館が選ばれています。
観客の負傷事故: 1981年5月23日のプロ公式戦（近鉄対西武戦）で、ファウルボールが観客の顔面に当たり、負傷する事故が発生しました。これは観客が多すぎてボールを避けきれなかったことが原因とされています。
金田対トレーバーの乱闘: 1991年5月19日のロッテ対近鉄戦で、近鉄のジム・トレーバー選手が、ロッテ・園川一美投手の内角攻めに激高し暴行を加えたことから、両チームが入り乱れる大乱闘に発展しました。トレーバー選手は退場処分となりましたが、収まらずにロッテベンチへ突進。その際、転倒したトレーバー選手の顔面を、ロッテ監督の金田正一氏が蹴りを入れるという場面がありました。しかし、審判からは見えなかったためか、金田氏は不問となり、退場者はトレーバー選手のみでした。
移動照明車購入構想: プロ野球やJリーグのナイター開催を目指す市民団体が、1995年から募金活動を行いました。これは、移動照明車を導入して簡易ナイターを実現しようというもので、募金で1台目の照明車を購入し、残りは市に働きかける計画でした。約2000万円が集まりましたが、安全性やコストの問題、Jリーグの開催要件緩和、県立野球場建設計画の具体化などにより構想は実現せず、集まった募金は後に八橋運動公園内の多目的グラウンドの照明設備設置費用の一部として活用されました。
グラウンド面積: 12,067m2（公称）
両翼: 100m
中堅: 122m
※1990年の改修前は両翼90m、中堅112mでした。
内野: 土
外野: 天然芝
スコアボード: LED付き磁気反転式
収容人員: 16,421人（内野：ベンチ席、外野：芝生席）
照明設備: なし
歴史
この球場は1941年9月、「秋田市営八橋球場」として開場しました。第二次世界大戦後、八橋球場は秋田県における野球の中心的な役割を果たし、高校野球や社会人野球などのアマチュア公式戦が現在も行われています。かつては2002年までプロ野球公式戦も開催され、特に秋田県出身の落合博満氏がロッテオリオンズに在籍していた時期には、同球団主催のパシフィック・リーグ公式戦がほぼ毎年開催されていました。
開場当初のグラウンドは、両翼90m、中堅112mと現在の基準から見るとかなり狭く、特にプロ野球においては本塁打が出やすいという問題がありました。そのため、秋田市は球場完成から50周年を迎えるにあたり、1990年に大規模な改修工事を実施しました。この工事では外野の拡張やスコアボードの改築が行われ、1991年シーズンから供用を再開。改修後のグラウンドは両翼100m、中堅122mとなり、プロ野球開催規格に適合するサイズとなりました。なお、改修期間中の1990年に予定されていたプロ公式戦は、旧秋田県立球場で代替開催されています。
プロ野球の公式戦は、ロッテだけでなく、オリックス・ブルーウェーブや広島東洋カープなども主催試合を開催していました。しかし、八橋球場は開場当初のスタンドを増改築しながら使用していたため、施設の老朽化や手狭さが目立ち、さらに幹線道路に面している立地のため、大規模な改修やプロ野球のナイター開催に必要な照明設備の設置が難しい状況でした。また、バックネット裏や内野席のほとんどがベンチタイプの座席であったため、プロ野球などで指定席を設定することが困難で、内野スタンドは「全席自由」とされるケースがほとんどでした。ロッカールームなどの選手控室も非常に狭く、選手がスタンド外で着替えを余儀なくされることもあり、こうした施設の不備はプロの選手や関係者から不評を買っていました。次第に八橋球場は、プロ野球の開催に適さない状態になりつつあったのです。こうした状況に対し、県内の競技団体や市民団体は、八橋球場の改築や新しい市営野球場の整備、さらには移動照明車によるナイター開催を市に求め、署名や募金活動などの働きかけを行いました。
2003年、秋田県は市街地西側の向浜地区に秋田県立野球場（こまちスタジアム）を完成させました。これは老朽化が進んでいた旧秋田県立球場に代わる施設として整備されたもので、25,000人の収容能力を持ち、プロ野球に対応できる照明設備も備えています。これに伴い、八橋球場でのプロ公式戦開催は2002年シーズンをもって終了。以降は高校野球、社会人野球などのアマチュア公式戦や一般利用に供用されるようになりました。
プロ公式戦は終了したものの、八橋球場の老朽化や手狭さは依然として課題であり、アマチュア公式戦を開催する上でも多くの問題点がありました。また、2007年に開催された第62回国民体育大会（秋田わか杉国体）の会場として使用することも決まっていたため、根本的な対策が必要とされました。このため、秋田市は2005年の全国高等学校野球選手権秋田大会終了後から、再び大規模な改修工事を実施しました。この工事ではメインスタンドと一・三塁側スタンドが全面改修され、外装の補修、ロッカールームなどの諸室の拡張が行われました。また、全ての座席が交換され、通路の拡幅やトイレなどへのスロープ設置といったバリアフリー対応も施されました。スコアボードもLED付き磁気反転式に刷新されるなど、施設全体の充実が図られました。この改修により、収容人員は以前の19,560人から16,421人に減少しましたが、2006年シーズンから供用を再開しています。
2015年11月には、秋田魁新報社が命名権を取得し、2016年4月1日より3年間の契約で「さきがけ八橋球場」の愛称が使用されることになりました。2017年5月16日には、当球場としては15年ぶりとなるプロ野球公式戦、東北楽天ゴールデンイーグルス対北海道日本ハムファイターズ戦が予定されていましたが、球場が交通量の多い道路に面しているため、ファウルボールが場外の人や車に当たる懸念が指摘されました。当初、安全対策としてクレーン車でネットを設置する案も検討されましたが、強風時の危険性が払拭できないとして、試合開催地は秋田県立野球場に変更されました。
2022年7月、野球伝来150周年を記念して、日本野球機構などが選定した「日本野球聖地・名所150選」に、秋田県から八橋球場と大仙市のかみおか嶽雄館が選ばれています。
主なエピソード
観客の負傷事故: 1981年5月23日のプロ公式戦（近鉄対西武戦）で、ファウルボールが観客の顔面に当たり、負傷する事故が発生しました。これは観客が多すぎてボールを避けきれなかったことが原因とされています。
金田対トレーバーの乱闘: 1991年5月19日のロッテ対近鉄戦で、近鉄のジム・トレーバー選手が、ロッテ・園川一美投手の内角攻めに激高し暴行を加えたことから、両チームが入り乱れる大乱闘に発展しました。トレーバー選手は退場処分となりましたが、収まらずにロッテベンチへ突進。その際、転倒したトレーバー選手の顔面を、ロッテ監督の金田正一氏が蹴りを入れるという場面がありました。しかし、審判からは見えなかったためか、金田氏は不問となり、退場者はトレーバー選手のみでした。
移動照明車購入構想: プロ野球やJリーグのナイター開催を目指す市民団体が、1995年から募金活動を行いました。これは、移動照明車を導入して簡易ナイターを実現しようというもので、募金で1台目の照明車を購入し、残りは市に働きかける計画でした。約2000万円が集まりましたが、安全性やコストの問題、Jリーグの開催要件緩和、県立野球場建設計画の具体化などにより構想は実現せず、集まった募金は後に八橋運動公園内の多目的グラウンドの照明設備設置費用の一部として活用されました。
施設概要
グラウンド面積: 12,067m2（公称）
両翼: 100m
中堅: 122m
※1990年の改修前は両翼90m、中堅112mでした。
内野: 土
外野: 天然芝
スコアボード: LED付き磁気反転式
収容人員: 16,421人（内野：ベンチ席、外野：芝生席）
照明設備: なし
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