秋田県医師会

一般社団法人秋田県医師会

秋田県医師会（Akita Medical Association）は、秋田県において医療に従事する医師たちが会員として組織された一般社団法人です。地域における医療の質の向上と県民の健康増進、そして医学・医療の振興に寄与することを主な目的として活動しています。その歴史は古く、明治時代にまで遡る長い歩みの中で、時代の要請や法制度の変化に応じながら組織のあり方を変化させてきました。

沿革

秋田県における医師の組織的な活動の起源は、1887年（明治20年）に設立された「秋田県医会」にあります。これは、当時の県内医師たちが集まり、医療に関する課題に対応するための団体だったと考えられています。その後、1908年（明治41年）に秋田県医会は一度解散しますが、同年には新たな組織として「秋田県医師会」が設立され、現在の医師会へと直接繋がる系譜が始まりました。

大正時代に入り、1919年（大正8年）には、当時の勅令第429号に基づいて公法人として改組されました。これは、医師会が公共性を有する団体として法的に位置づけられた重要な出来事です。公法人化後、1920年（大正9年）には秋田県会議事堂にて第1回総会が開催され、組織としての基盤が固まりました。1923年（大正12年）には、医師会法が改正され、全国的な組織である法定日本医師会が設立されたことに伴い、秋田県医師会もこれに対応した組織変更を行いました。

時代は移り、太平洋戦争中の1942年（昭和17年）には、国民医療法および医師会令の施行により、戦時体制に即応するための組織改変が行われました。国家による医療統制が強化された時代背景を反映した措置です。終戦後、新たな社会体制の下、1947年（昭和22年）に制定された新医師法に基づいて、旧体制から脱却した新制社団法人としての秋田県医師会が設立されました。これが、現代の社団法人としての医師会の直接的な出発点となります。

さらに現代の法改正に対応し、2013年（平成25年）には、特例民法法人から一般社団法人への移行登記を実施しました。これにより、現在の正式名称である「一般社団法人秋田県医師会」となり、新たな法的形態の下で活動を続けています。

近年、地域医療が直面する様々な課題に対応するため、新たな取り組みも開始されています。2020年（令和2年）には、特に後継者不足が懸念される診療所や医院の円滑な事業承継を支援するために、エムスリー株式会社、秋田銀行、北都銀行といった異業種の組織と連携協定を締結しました。これは、医療専門家団体、IT企業、地域金融機関が連携し、地域医療体制の維持・発展を図る先進的な試みとして注目されています。

組織構成

秋田県医師会の本部は、秋田県秋田市千秋久保田町6-6にある秋田県総合保健センターの4階に設置されています（〒010-0874）。県内の広範な地域をカバーし、地域の実情に即した活動を行うため、県内各地に郡市医師会および大学医師会が組織されています。これらは秋田県医師会の下部組織として、地域医療の推進、会員間の連携強化、住民の健康相談など、地域に根差した様々な活動を展開しています。

主な郡市医師会および大学医師会には以下のようなものがあります。

大館北秋田医師会
能代市山本郡医師会
秋田市医師会
由利本荘医師会
大曲仙北医師会
湯沢市雄勝郡医師会

これらの地域組織が連携することで、県全体の医療課題に対応し、秋田県の医療提供体制を支えています。

まとめ

一般社団法人秋田県医師会は、設立以来130年以上の長きにわたり、秋田県の医療の中心的な役割を担ってきました。歴史的な変遷を経て現在の組織形態に至り、常に時代の変化と地域社会のニーズに応えながら活動を続けています。会員医師の連携強化、地域医療の発展、県民の健康増進に貢献するとともに、近年は事業承継支援のような新たな課題への取り組みも積極的に行っています。日本医師会や厚生労働省などの関連機関とも連携し、秋田県の未来の医療体制構築に向けて重要な役割を果たしています。

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