秋葉原映画祭

秋葉原 映画祭

秋葉原映画祭（あきはばらえいがさい、Akiba Film Festival, AFF）は、日本の東京・秋葉原を舞台に開催されるユニークな映画祭です。通常の映画祭とは一線を画し、地元の有志やボランティアが集まって運営される独立系のイベントとして、秋葉原ならではの文化を色濃く反映しています。企画・運営は秋葉原映画祭実行委員会が担い、一般社団法人千代田産業振興協会が共催として名を連ねています。

この映画祭の核となるコンセプトは、“アキバ”を訪れる人々が「大好き」と感じる要素を結集することです。上映作品の中心はアニメ作品ですが、それ以外にも漫画やライトノベルズ、ゲームを原作とする作品、さらにはアイドルが出演する関連作品など、幅広いポップカルチャーのカテゴリーに属するコンテンツが取り上げられます。

AFFの最大の特長は、観客参加型の上映スタイルです。特に注目されるのは「発声上映」で、これは映画館で通常は慎むべき声出し、すなわち応援、合唱、拍手、声援、さらにはアフレコまでを許可し、観客がサイリウムなどを用いて積極的に鑑賞に参加できる形式です（発声上映が指定された作品に限る）。AFFは、スクリーンに向かって観客が自由に声を出して鑑賞できる「応援上映」というスタイルを初めて実施した映画祭の一つとして知られています。

映画上映に加えて、関連イベントとしてアイドルライブ（メンズアイドルやメイド選手権なども含む）が同時開催される点も、秋葉原という土地柄を反映した特色です。これにより、映画鑑賞後も参加者が秋葉原ならではの文化体験を楽しめるよう工夫されています。また、映画祭のチケット半券を提示すると、アトレ秋葉原をはじめとする秋葉原周辺の多くの提携店舗、飲食店、ライブ会場などで割引特典を受けられるサービスも提供され、地域活性化にも貢献しています。声優やアイドル、タレントが出演する作品など、AFFで初めて公開される「プレミア上映」作品も多数あります。

主要な会場としては、2019年度からは2018年12月に新設された神田明神ホールがメイン会場となっています。その他、秋葉原クロスフィールド内にある秋葉原UDXシアターや、富士ソフトアキバプラザ内のアキバシアターがシアター会場として利用されています。年度によっては秋葉原周辺のライブハウスなども提携企画の会場として使用されます。開催初年度は秋葉原UDXシアターがメイン会場でしたが、2017年度にはアキバ・スクエアとUDXシアターが、2018年度には富士ソフトアキバシアターが新たなサブ会場として加わるなど、会場構成も変化してきました。

AFFは2016年1月に第一回が開催されて以来、概ね年に一度開催されてきましたが、開催月は年度によって変動しています。2017年度からは発声可能上映が本格的に導入され、特に2018年・2019年度は上映作品の多くが発声上映に対応しました。また、2017年度には、地元秋葉原を舞台にライブアイドルたちが企画・製作した短編映画を上映する部門も設けられました。

しかし、2020年および2021年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態措置を受けて開催が中止されました。助成金に頼らない独立した運営体制であったこともあり、この中止は映画祭を無期限の休止に追い込むこととなります。

休止期間を経て、2024年11月には「秋葉原国際映画祭2024」の実行委員会に特別顧問として参画し、活動を再開する兆しが見えました。そして、2025年には5年間の休止期間を終え、「リジェネレーション（再始動）」が正式に発表されました。再始動にあたっては、クリエイターの発掘・育成・集いの場としての役割を強化し、新たな文化創造を目指すことが目的とされています。

秋葉原映画祭には公式キャラクターとして、2017年に誕生した「嶋音ミル（しまねみる）」がいます。初年度のイメージカラーであるオレンジ色の髪を持ち、「シネマを見る」から名付けられました。2018年には人気絵師の紅緒氏が作画を担当し、公式キャラクターに昇格。天真爛漫でアニメやゲーム、ラノベ、アイドルを好む14歳の女の子という設定で、年間720本もの映画を鑑賞するとされています。また、アスキーアートが実体化したマスコットキャラクター「あーくん」を帯同しています。CVは声優の福緒唯氏が担当しています。

公式アンバサダーとしては、2017年度から映画コメンテーターの有村昆氏が務めています。公式サポーターには、2018年度にRAB（リアルアキバボーイズ）が参加し、2019年度にはコツメカワウソの妖精ちぃたん☆、人気コスプレイヤーのえなこ氏、声優・アーティストの竹達彩奈氏、バーチャルライブグループのにじさんじなど、様々な分野のインフルエンサーが名を連ねました。

秋葉原映画祭は、その独自の上映スタイルとポップカルチャーへの特化、地域との連携を通じて、秋葉原独自の魅力を発信する重要なイベントであり、2025年の再始動により、さらなる発展が期待されています。

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