秘匿飛行場

秘匿飛行場について

秘匿飛行場（ひとくひこうじょう）とは、太平洋戦争末期に日本の本土決戦を目指して整備された特攻部隊の発進基地です。この飛行場は、敵の空襲から航空戦力を守ることを目的として秘密裏に設計されたものであり、全国で約40カ所の設置が計画されました。1945年4月からの整備が進められ、その特徴や秘匿の手法について知ることはこの時期の日本の航空戦略を理解する上で重要です。

秘匿飛行場の背景

日本は戦争が長引く中、米軍による空襲が激化する状況に直面しました。特攻隊員が急増する中で、本土を守るための必要性が高まりました。航空機、燃料、弾薬を分散させる形で秘匿された飛行場が整備され、これにより被害の軽減を図ろうとしました。しかし、発進時間に制約があったり、準備に時間がかかるといった新たな問題も浮上しました。その解決策として新たに建設されたのが秘匿飛行場でした。

全国に広がる秘匿飛行場

秘匿飛行場は、主に以下の地域に設置される計画がありました。

• - 東北方面: 三本木、六郷、金ヶ崎、水沢、王城寺、棚倉
• - 関東方面: 矢板、結城、真壁、御勅使河原（白根町）、今市、龍ヶ崎、熊谷、北富士
• - 北陸方面: 八色原（浦佐村）、新潟南、村松
• - 東海方面: 関、大垣、菰野、鈴鹿
• - 近畿地方: 粉河、神野、青野原、福知山
• - 中国地方: 行幸、倉吉、埴生
• - 四国地方: 丸亀、国分、松山
• - 九州地方: 津屋崎、福島、山鹿、飯野、小林、甘木、人吉、熊本、豊後

これらの飛行場では、偽装工作を行うことで隠蔽が試みられましたが、米軍は偵察機を用いて写真撮影やコード番号の特定を行なっています。

沖縄における秘匿飛行場建設計画

沖縄では、1942年のミッドウェー海戦による航空母艦の損失を受け、多数の航空基地を島に建設する計画が立てられました。その中で、沖縄県には15カ所の飛行場の建設が進められましたが、そのうちの4カ所は特攻機用の秘匿飛行場として設計されました。これらの飛行場は1944年から建設が開始されたものの、未完成のまま放棄されました。

具体的には、沖縄南飛行場や沖縄東飛行場、首里秘密飛行場、与根秘密飛行場があげられ、これらは全て接収後に米軍に利用されています。沖縄守備軍第32軍は特攻作戦に期待を寄せていましたが、暫くの間の支援が遅れてしまい、次第に本土からの支援への信頼感が薄れていきました。

秘匿飛行場の未完成とその後

多くの秘匿飛行場は未完成の状態で戦争を迎えたため、実際にはその目的を果たすことはありませんでした。整地作業が行われた程度で、中には学童らが動員されたものの、十分な食事も与えられず非常に厳しい環境のもとで作業が強いられました。結果として、これらの飛行場は米軍に占領された後に使用されることになり、その多くは戦後の米軍基地として残りました。

このように、秘匿飛行場は本来の目的を果たすことなく、その名の通り秘匿されたまま未完成で終わったのです。戦争の歴史の中で、これらの飛行場が持っていた意味を考えることは、今日の私たちにとっても重要な視点となるでしょう。

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