埴生

山口県山陽小野田市埴生地区：歴史と自然が調和する魅力的な地域

埴生（はぶ）地区は、山口県山陽小野田市の西端に位置し、下関市と宇部市の中間にあたる場所にあります。周防灘に面し、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた地域です。この記事では、埴生地区（埴生、福田、津布田）の地理、歴史、産業、文化、教育、交通などについて詳しく解説します。

地理

埴生地区は、山陽小野田市西部の海岸平野（埴生低地）に位置し、石山山地や津布田丘陵などの丘陵地に囲まれています。下関市に隣接しており、同市との結びつきも強い地域です。中心集落は埴生低地に形成された漁村集落で、福田・津布田は農業が盛んです。糸根川や前場川が周防灘に注ぎ、埴生低地はこれらの川の下流部に広がる谷底平野となっています。津布田には三畳紀の炭田が広がり、昭和中期まで採掘が行われていました。

気候

埴生地区は瀬戸内海式気候と太平洋側気候の接点に位置し、両方の気候の特徴を併せ持っています。年平均気温は約15℃、年平均降水量は約1,600 - 1,700mm、降雪日数は年4日程度です。降水量の3分の1は梅雨期に集中します。

歴史

埴生地区では、古墳時代後期に津布田に平松古墳群が築造され、古墳時代末期には埴生にも複数の円墳が築造されました。『延喜式』には山陽道の駅家として「埴生」が記されており、これが地名としての「埴生」の初出です。

鎌倉時代初頭には、石清水八幡宮の荘園として埴生荘・津布田荘が置かれました。室町時代初期には大内氏の支配下となり、大内氏一族の所領が見られるようになります。

江戸時代には萩藩領（毛利氏）となり、吉田宰判が地域の支配を行いました。埴生村は蔵入地が多く、津布田村はほぼ全域が給領地（榎本氏の所領）でした。江戸時代中期に埴生村から福田村が分立しましたが、史料によっては埴生村の一部として扱われることもありました。山陽道（西国街道）は「厚狭 - 埴生 - 小月」から「厚狭 - （福田） - 吉田 - 小月」経由に変更され、埴生は枝道の扱いとなりました。

1871年の廃藩置県により山口県が発足し、1889年の町村制施行に伴い、埴生・福田・津布田の3村が合併して生田村（いくたそん）が発足しました。1948年には町制を施行し、埴生町（はぶちょう）と改称。1956年に厚狭町と合併し、山陽町の一部となり、2005年には山陽町と小野田市が合併し、山陽小野田市の一部となりました。

産業

埴生地区では、漁業と農業が主な産業です。埴生漁港ではアサリなどの貝類が水揚げされています。また、観光農園「花の海」では、四季折々の花々が楽しめます。かつては炭鉱も存在しましたが、エネルギー革命により閉山されました。

山陽オートレース場は、埴生地区の経済を支える重要な施設です。ネット投票の普及などにより、近年は売り上げが増加傾向にあります。

教育

埴生地区には、埴生幼稚園、埴生小学校、埴生中学校があります。埴生小学校は埴生中学校敷地に併設されており、小中一貫教育を実施しています。2022年には津布田小学校が埴生小学校に統合されました。

交通

埴生地区には、JR山陽本線の埴生駅があります。また、国道2号と国道190号が通り、自動車でのアクセスも便利です。山陽自動車道の埴生インターチェンジも利用できます。下関市と山陽小野田市を結ぶバス路線も運行されています。

文化財

埴生地区には、埴生芝居、平松古墳群、糸根の松原などの文化財があります。埴生芝居は、江戸時代に始まったとされる伝統芸能で、一時衰退しましたが、近年復活に向けて取り組んでいます。

まとめ

埴生地区は、豊かな自然と歴史的な史跡、オートレース場などの施設が調和した魅力的な地域です。温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、農業や漁業が盛んです。また、小中一貫教育を実施するなど、教育にも力を入れています。埴生地区を訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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