秘密の動物誌

秘密の動物誌

『秘密の動物誌』（Fauna Secreta）は、1991年12月に筑摩書房から刊行された、ジョアン・フォンクベルタとペレ・フォルミゲーラによるサブカルチャー書籍です。翻訳は管啓次郎、監修は荒俣宏が担当しました。

概要

本書は、「ペーター・アーマイゼンハウフェン博士」という架空の動物学者が残したとされる資料を元に、世界各地に生息する珍獣・幻獣を紹介するという体裁をとっています。翼の生えたライオンや空を飛ぶゾウなど、常識では考えられない生物たちの生態写真や解剖図が、詳細な解説とともに掲載されています。

しかし、これらの記述、写真、データは全て著者の創作です。フォンクベルタとフォルミゲーラは、本書の内容がフィクションであることを明言していませんが、制作ノートにおいて「現実とフィクション、自然界と想像界との曖昧な境界線への旅」と表現しています。

当初の創作目標は「写真ドキュメントの説得力の薄弱さを示すこと」でしたが、制作を進めるうちに「科学的言説や認識形成メカニズムに潜む技術や策略をも考え直してみようということ」を提案する意図も込められるようになりました。

主な掲載動物

ソレノグリファ・ポリポディーダ（ダソククサリヘビ）
インド南部に生息する、12本の脚を持つ蛇。脚を使って俊敏に動き、捕食時には消化液を吐き出して獲物を弱らせます。
ペロスムス・プセウドスケルス（ニセワルモノモリウサギ）
ボヘミアに生息する、鋭い牙を持つウサギ。大型昆虫を捕食し、交尾時に独特の鳴き声を発します。
コック・バシロサウルス（クナシリシンカイオオトカゲ）
根室海峡に生息する、バシロサウルスに似た巨大なトカゲ。蛇のような骨格を持ち、雑食性です。
ケンタウルス・ネアンデルタレンシス（ネアンデルタールケンタウロス）
ウガンダで発見された、4本の足と2本の腕を持つ、ヒヒと馬を合わせたような姿の生物。学習能力と会話能力を持ちます。

これらの生物は全て架空のものですが、あたかも実在するかのように詳細に記述されており、読者を魅了します。

関連項目

鼻行類
アフターマン
* 平行植物

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