秘密機関

秘密機関

『秘密機関』（ひみつきかん、原題：The Secret Adversary）は、1922年にアガサ・クリスティによって発表された推理・サスペンス小説です。この作品は、クリスティの第2作目であり、「おしどり探偵」として知られるトミー・ベレズフォードとタペンス・カウリイを主人公にする「トミーとタペンス・シリーズ」の第一弾となります。

作品の背景

クリスティは、夫アーチーの勧めを受けてこの作品の構想を始めました。彼女があるカフェでお茶をしているとき、近くのテーブルで響く「ジェーン・フィッシュ」という名前が耳に入ります。この名前は彼女の作品に影響を与え、最終的には「ジェーン・フィン」という登場人物の名前として生まれ変わりました。さらに、耳にしたこの名前の状況は、作品の冒頭で重要な役割を果たします。トミーとタペンスの物語は、クリスティが出発点として選んだこのエピソードから始まります。

あらすじ

物語は、幼なじみであるトミーとタペンスが久々に再会するところから始まります。二人は「青年冒険家商会」を設立し、依頼を受けることに決めます。思わぬ幸運に恵まれたかのように感じた矢先、タペンスが依頼人の事務所で「ジェーン・フィン」という名前を使うと、その場の雰囲気が一変します。実は「ジェーン・フィン」は、1915年にドイツ潜水艦の攻撃を受けたルシタニア号において、重要な極秘文書を受け取った行方不明のイギリス女性の名前だったのです。

トミーとタペンスは、イギリスの情報局員の協力を得て、ジェーンの捜索と文書の確保に乗り出します。しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、「ブラウン氏」と呼ばれる悪党とその一派です。彼らも条約草案を手に入れようと狙っており、トミーとタペンスは危険な局面に追い込まれていきます。

登場人物

• - トーマス・ベレズフォード（トミー）: 冒険心あふれる青年
• - プルーデンス・カウリイ（タペンス）: トミーの幼なじみで恋人
• - エドワード・ウィティントン: エストニア・グラスウェア会社の社長
• - ジェーン・フィン: 行方不明の女性
• - ジュリアス・P・ハーシャイマー: ジェーンのいとこ
• - リタ・ヴァンデマイヤー夫人: 美貌の女性
• - ジェームズ・ピール・エジャートン: 弁護士
• - ボリス・ステファノフ: ロシア人
• - A・カーター: 情報局員

映像化

この小説は数回にわたり映像化されています。1983年には、イギリスでのテレビドラマとして放送され、日本では「秘密組織」というタイトルで知られています。また、2015年にはBBCによって制作された『トミーとタペンス -2人で探偵を-』のシリーズとして再登場し、時代背景が第二次大戦後に変更されています。これらの映像作品は、クリスティの魅力的な物語を新たな形で楽しむ機会を提供しています。

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