秦崇秀

秦崇秀：2200年の魂を受け継ぐ格闘家

SNKの対戦型格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズに登場する秦崇秀は、山口勝平が声を担当する、魅力的なキャラクターです。双子の兄である秦崇雷と共に、物語に深みと複雑さを加える重要な存在となっています。

悲劇的な過去と宿命

秦崇秀は6歳の時、伝染病で両親を亡くします。死に際に父から語られたのは、始皇帝の護衛長官を務めたという強大な一族の祖先、秦王龍の伝説。その血を受け継ぐ兄弟は、貧しいながらも誇り高く生きてきましたが、同時に深い憎悪も抱くようになっていました。ある日、近所の子供たちを傷つけてしまったことをきっかけに、兄弟は2200年前の祖先の魂、秦海龍に憑依されます。

崇秀自身は少年らしいあどけなさを残していますが、秦海龍が目覚めると、鬼神のごとき戦闘能力を発揮する、まさに別人へと変貌します。兄の崇雷にも秦空龍という魂が宿っており、兄弟は秦王龍の血を受け継ぎ、秦の秘伝書を探す旅に出ることになります。秘伝書は最強の格闘家の元に集まるとされており、その争奪戦が物語の中心となります。

ゲームにおける活躍

『餓狼伝説3』では、山崎竜二や兄と共に隠しボスとして登場。龍の偶像と森、あるいは湖に囲まれた荘厳なステージで、プレイヤーを待ち受けます。最速のオーバースウェーと、しゃがみ弱パンチからの連続技、そして強力な飛び道具や無敵時間を持つ必殺技で、プレイヤーを圧倒します。

『リアルバウト餓狼伝説』シリーズでは、最初から使用可能なキャラクターとなり、必殺技の性能は調整されていますが、他のキャラクターと互角以上に戦うことができます。『リアルバウト餓狼伝説』で追加された瞬間移動技「帝王神眼拳」は、彼の戦術に幅を与え、シリーズを通して技の差別化が図られています。『リアルバウト餓狼伝説2』ではキム・カッファンの元で修行を積むエンディングも見られ、彼の成長がうかがえます。

『ネオジオバトルコロシアム』では、兄と共に「WAREZ」から秦の秘伝書を取り戻すために参戦します。

独特の必殺技

秦崇秀は、数々の個性的な必殺技を持っています。高速突進技の「帝王神足拳」、飛び道具の「帝王天眼拳」、無敵時間を持つ「帝王天耳拳」、そして瞬間移動技「帝王神眼拳」など、状況に合わせて使い分けることで、高い戦闘能力を発揮します。また、「帝王漏尽拳」などの潜在能力も彼の強さを象徴しています。

これらの技はシリーズを通して調整され、兄との差別化が図られてきました。例えば、「帝王天耳拳」は『餓狼伝説3』では完全無敵でしたが、『リアルバウト餓狼伝説』以降は性能が変更され、弟の技は垂直に飛び上がることで真上への攻撃に特化しました。

兄弟の絆と宿命

秦崇秀と崇雷は、悲しい過去を共有し、共に秘伝書を求めて戦います。時に協力し、時に対立する兄弟の複雑な関係性は、物語に深みを与えています。『リアルバウト餓狼伝説2』のエンディングでは、崇秀が兄の姿を思い浮かべるシーンがあり、兄弟の絆の深さが感じられます。

秦崇秀は、単なる格闘家ではなく、複雑な過去と宿命を背負ったキャラクターです。彼の個性的な技と、兄との関係性、そして秘伝書を巡る物語は、多くのプレイヤーを魅了し続けています。

参考文献

『A.A.GAME HISTORY SERIES VOL.2 ALL ABOUT SNK対戦格闘ゲーム 1991-2000』 ISBN 4-88554-677-X 電波新聞社 2000年12月
『月刊ネオジオフリーク』 1997年12月号

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