秦崇雷

秦崇雷：2200年の魂を宿した格闘家

SNKの対戦型格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズに登場する秦崇雷は、山口勝平が担当声優を務める、記憶に残るキャラクターです。双子の弟、秦崇秀と共に、シリーズを通して重要な役割を担っています。

悲しい過去と宿命

秦崇雷は6歳の時に伝染病で両親を失います。死に際に父から語られたのは、始皇帝の護衛長官を務め、千騎の兵を一人で壊滅させたほどの強さを誇った祖先、秦王龍の存在でした。両親の死後、貧困の中で育ちながらも、兄弟で支え合い、誇り高く生きてきた彼らですが、同時に、他人への憎悪も心の内に育んでいきました。14歳の頃、子供たちにからかわれた際に起こった出来事が、彼らの人生を大きく変えます。子供たちを半死半生に追い込んだ後、意識を失った秦兄弟は、2200年前の祖先の魂に憑依されたのです。

崇雷自身は普通の少年ですが、彼の内に宿る祖先の魂「秦空龍」が目覚めると、鬼神のごとき戦闘マシンへと変貌します。弟・崇秀には「秦海龍」という魂が宿っています。秦空龍と秦海龍は兄弟であり、秦王龍の子孫であるとされています。彼らは『秦の秘伝書』を求めて現代に蘇ったのです。この秘伝書は最強の格闘家の元に集まるとされ、その争奪戦が『餓狼伝説3』での主要なストーリーを形成します。最終的にギース・ハワードがこの秘伝書を手に入れることとなります。

葛藤と成長

『リアルバウト餓狼伝説』シリーズでは、秘伝書の呪縛から逃れようとする姿や、逆に祖先の霊に苦しめられる姿が描かれています。また、『リアルバウト餓狼伝説2』では、タン・フー・ルーやキム・カッファンの弟子として修行に励むなど、成長を遂げていく様子がうかがえます。

『餓狼伝説3』以降のほとんどの作品で弟と共闘する一方、『熱闘リアルバウト餓狼伝説スペシャル』では崇雷のみが登場します。客演作品である『ネオジオバトルコロシアム』では弟と共闘しますが、「アナザーダブルアサルト」という連携技は存在しません。容姿は、父親似の崇雷と母親似の崇秀という対比も興味深い設定です。これは、当初一人のキャラクターとしてデザインを進めていたものが、ふたつの案がどちらも捨てきれず、双子という設定で採用された結果です。

圧倒的な戦闘能力

『餓狼伝説3』で初登場した秦崇雷は、弟と共にボスキャラクターとして登場します。隠しボスとしての出現条件は弟よりも厳しく、真の最終ボスとして君臨します。弟を倒された怒りを露わにして、プレイヤーに戦いを挑んでくる姿は印象的です。

ゲーム上では、弟と並んで最速のオーバースウェー動作と、強力な必殺技を多数持ちます。「帝王天眼拳」「帝王天耳拳」「帝王神足拳」「帝王漏尽拳」「帝王宿命拳」など、その性能は弟を凌駕し、ボスキャラクターとしての強さを存分に発揮しています。家庭用ネオジオのメモリーカードを使用することで、アーケード版でも使用可能でした。

『リアルバウト餓狼伝説』以降は、弟や山崎竜二と共に最初から使用可能になりますが、技の性能は弱体化されています。弟とは差別化された性能となり、瞬間移動技を持つ弟とは異なる戦術が求められるようになりました。

技の解説

秦崇雷は、多彩な通常技、特殊技、必殺技、そして超必殺技（潜在能力）を駆使して戦います。

通常投げ・特殊技
発勁龍：気を放出して吹き飛ばす投げ技
龍回頭：前転体当たり
龍殺脚：踵落とし
龍転身：前転すり抜け
龍転身・後方：後転

必殺技
帝王神足拳：高速突進肘打ち
真神足拳：帝王神足拳の上位版
帝王天眼拳：球状の気を投げる飛び道具
大天眼拳、極天眼拳、修羅天眼拳：帝王天眼拳の強化版
帝王天耳拳：回転しながら舞い上がる対空技
帝王漏尽拳：波動を噴き出す技
帝王他心拳：飛び道具を跳ね返す技

超必殺技（潜在能力）
帝王宿命拳：球状の気を飛ばす技
帝王龍声拳：鋭い気孔波を放つ技
帝王逆鱗拳：乱舞技

登場作品とテーマ曲

秦崇雷は『餓狼伝説3』、『リアルバウト餓狼伝説』シリーズ、『ネオジオバトルコロシアム』など、多くの作品に登場します。テーマ曲は、『餓狼伝説3』と『リアルバウト餓狼伝説』では「パンドラの箱より 第2番 「迷霧」」、 『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』と『リアルバウト餓狼伝説2』では「パンドラの箱より第3番「決断」」が使用されています。また、『ザ・キング・オブ・ファイターズ'94 RE-BOUT』と『2002』では背景にのみ登場します。

参考文献

月刊 ネオジオフリーク（芸文社）
マイコンBASICマガジン別冊 ALL ABOUTシリーズ Vol.10 ALL ABOUT 餓狼伝説3（電波新聞社）
A.A.GAME HISTORY SERIES VOL.2 ALL ABOUT SNK対戦格闘ゲーム 1991-2000（電波新聞社）

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