称念寺 (上越市)

称念寺（しょうねんじ）

新潟県上越市に静かにたたずむ称念寺は、時宗に属する格式ある寺院です。古くからこの地に信仰を集め、長い歴史を刻んできました。

歴史的変遷

称念寺の創建は、鎌倉時代末期にあたる嘉暦二年（1327年）に遡ります。時宗の第六世遊行上人として知られる他阿一鎮（たあ いっちん）上人が開山となり、越後国の府中、現在の新潟県上越市五智、すなわち直江津の地に創建されました。当初は「応称寺」という寺号を名乗っていましたが、創建後に越前国（現在の福井県）にあった長崎道場称念寺の住職がこの寺院を兼務することになったため、第二代住職の代に寺号を「称念寺」へと改めたと伝えられています。この改名は、時宗における各寺院の連携や位置づけを示すものとも考えられます。

その後、江戸時代に入り、慶長年間（1596年〜1615年）に高田城が築城されるに伴い、城下町の整備が行われました。このとき、寺院を集約するために設けられたのが現在の寺町です。称念寺もこの都市計画に従い、創建の地から高田城下の寺町へと移転しました。この移転は、寺院がその時代の政治的・社会的変化に応じて所在を変える例として、称念寺の歴史における重要な節目となっています。現在地に移ってからも、称念寺は地域の信仰の中心として、また時宗の教えを広める道場として、その役割を果たし続けています。

所蔵文化財

称念寺には、国から重要文化財の指定を受けている貴重な仏像が安置されています。それは「木造一鎮倚像（もくぞう いっちんいぞう）」です。この像は、称念寺を開いた他阿一鎮上人のお姿を写した肖像彫刻であり、生前に制作された「寿像」であると考えられています。仏像彫刻史において高名な、いわゆる「七条仏師」の手によるものと推定されており、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての肖像彫刻の傑作として高い価値が認められています。像が一鎮上人が椅子に座った「倚像」の形式をとっていることも特徴の一つです。この木像は、称念寺の開山の精神を今に伝え、また当時の仏像制作技術を知る上でも大変貴重な資料となっています。

交通アクセス

称念寺へは、公共交通機関を利用して容易に訪れることができます。

• - えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの高田駅が最寄り駅となります。
• - 高田駅からは、南西方向へ徒歩およそ10分程度の距離に位置しています。

駅からも近く、歴史ある寺町の一角にあるため、散策がてら立ち寄るのに適した場所にあります。

関連事項

• - 称念寺：当寺の寺号の由来となった、越前国（福井県）にあった同名の寺院です。

称念寺は、その創建から現在に至るまで、時宗の教えと共に歩み、数々の歴史的な出来事を経験してきました。特に、開山である他阿一鎮上人の肖像を伝える木造一鎮倚像は、寺院だけでなく日本全体にとって重要な文化財です。静寂な境内は、訪れる人々に歴史の重みと安らぎを与えてくれるでしょう。

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