高田城

高田城について

高田城は、新潟県上越市本城町に位置する日本の城で、その歴史は江戸時代初期にまで遡ります。地元では「鮫ヶ城」という別名で親しまれ、2017年には続日本100名城にも選定されました。この城は、徳川家康の六男である松平忠輝の居城として、天下普請によって建設されました。

築城の背景

松平忠輝は、当初福島城を居城としていましたが、慶長19年（1614年）に高田へ移り、高田城の築城が開始されました。この築城を総監督したのは、忠輝の舅にあたる伊達政宗でした。高田城は、高田平野の菩提ヶ原に築かれた平城で、本丸を中心に二の丸、三の丸、北の丸が配置され、関川や青田川などの河川を外堀として利用しました。城の構造としては、土塁が用いられ、石垣は築かれませんでした。これは、低湿地に築城されたため、排水設備が重視されたことや、当時の技術的な制約によるものと考えられます。

城の構造と特徴

高田城の最大の特徴は、石垣を一切使用していない点です。その代わりに土塁が用いられ、排水設備に工夫が凝らされています。城の周囲には、関川や青田川などの自然の地形を利用した堀が設けられ、防御の役割を果たしていました。築城後、間もなく大坂の陣や松平忠輝の改易といった出来事が続き、櫓などの整備は遅れました。天守の代わりとなる三重櫓は、後に松平光長によって建てられたとされています。

歴史と変遷

高田城は、江戸幕府成立以前から様々な歴史的出来事に関わってきました。上杉氏や堀氏といった有力な大名がこの地を支配し、江戸幕府成立後は越後高田藩の藩庁が置かれました。高田藩は、親藩の大藩である越前福井藩と共に加賀前田藩を挟む形で配置され、幕府にとって重要な役割を担っていました。しかし、度重なる事件や気候の厳しさから、次第に幕府や諸大名にとって負のイメージを持つようになり、江戸中期以降は、不始末を犯した大名の懲罰的な転封先としての意味合いが強くなりました。

主な城主

高田城の歴史の中で、多くの大名が城主を務めました。松平忠輝に始まり、酒井家次、松平忠昌、松平光長などが名を連ねます。特に、稲葉正往、戸田忠真、松平定重、榊原政純は、それぞれが転封という形で高田城に入り、その背景には幕府の政治的な思惑や、大名自身の不始末が関係していました。

明治時代以降

明治時代に入ると、高田城は陸軍の駐屯地として利用されるようになり、大規模な改変が加えられました。土塁の撤去や堀の埋め立てが行われ、城の東半分は旧状をとどめていません。しかし、本丸を含めた西半分には堀や土塁の一部が残され、現在は公園として整備されています。また、3000本を超える桜が植えられ、日本三大夜桜の一つとして知られています。さらに、外堀には蓮が植えられ、「上越蓮まつり」が開催されるなど、市民の憩いの場、観光地として親しまれています。

現在の姿

1993年には、失われた三重櫓が再建され、往時の姿を一部再現しています。この三重櫓は、外観を当時の資料に基づき復元し、内部は展示室や展望室として利用されています。また、2002年には、二の丸と本丸を結ぶ極楽橋が再建され、高田城の歴史を今に伝えています。高田城は、その歴史的な価値から新潟県指定史跡に指定され、2017年には続日本100名城にも選定されました。

石垣がない理由

高田城が石垣を持たない理由については、いくつかの説があります。

近郊に石垣に適した石材が産出しなかった。
低湿地の軟弱な地盤が石垣の重量を支えられなかった。
当時の攻城法において、土塁が有利であった。
築城を急いだため、石垣工事を省略した。

これらの説が複合的に作用した結果、高田城は石垣を持たない独特な城郭になったと考えられています。

遺構・復元施設

現在、高田城には、本丸土塁、本丸跡、復興天守（三重櫓）、水堀、極楽橋などの遺構や復元施設があります。特に、再建された三重櫓は、高田城のシンボルとして多くの人に親しまれています。

周辺施設

高田城址公園内には、上越市歴史博物館があり、上杉謙信の書状など貴重な資料が展示されています。また、高田郵便局には高田城の絵図を載せた案内板が設置されており、周辺の城下町の歴史を学ぶことができます。

支城

高田藩の支城として、飯山城、松代城、糸魚川城などが挙げられます。

アクセス

高田城へのアクセスは、公共交通機関や自動車を利用することができます。


高田城は、その歴史と文化、そして美しい景観によって、多くの人々を魅了する場所です。

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