稗方弘毅

稗方 弘毅の生涯と業績

稗方 弘毅（ひえかた こうき）は、1887年9月20日に熊本県下益城郡海東村で生まれました。彼は海東村長である稗方惟一の長男として育ちました。若い頃から優れた学業を持ち、熊本県立中学済々黌や第五高等学校を卒業。その後、1913年に東京帝国大学法科大学法律学科を卒業し、文官高等試験行政科試験にも合格しました。これを機に内務省に入省し、熊本県に所属することとなりました。

稗方は官僚としてのキャリアを順調に歩んでいきます。大正4年（1915年）には山口県警視を任命されると、様々な役職を歴任しました。大正6年には佐波郡長、大正7年には宮城県理事官に就任し、その後福岡県理事官としても活躍しました。のちに国勢院書記官に異動し、さらには山梨県書記官・内務部長にも就任。神奈川県でも同様の役職を歴任しました。

彼の政治キャリアの中で特に注目されるのは、1930年に官選で秋田県知事に就任したことです。この時期、県の財政が厳しい状況であり、稗方は緊縮財政を徹底して推進しました。彼が採ったこれらの方針は、財政再建のために必要な措置であったものの、周囲からの評価には賛否が分かれました。

しかし、1931年12月に彼は知事を休職し、翌年の1932年には依願免本官となり退官することとなります。この時期、彼は政変に巻き込まれ、内務官僚としてのキャリアを断たれることになりました。

退官後の稗方は、横浜で弁護士としての活動を始めるとともに、東京の九段にあった和洋裁縫女子専門学校の経営に従事しました。ここでも彼は教育者としての才能を発揮し、学校を大学に育て上げることに成功します。和洋女子大学の学長、私立大学協会長、大学設置審議会委員などを歴任し、教育界にも影響を与えました。

彼の貢献は公的な場でも評価され、1965年には勲二等叙勲を受ける栄誉を得ます。教育や行政の分野で数々の功績を残した稗方は、1973年3月8日にその生涯を閉じました。彼の業績と精神は、今なお多くの人々に受け継がれています。

参考文献

彼の生涯について詳しく知りたい方には、以下の文献をお勧めします。

• - 『海東小学校創立百周年記念誌』宇城市立海東小学校、1971年。
• - 『九州人国記』熊本日々新聞社、1966年。
• - 『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982年。
• - 小川町史編纂委員会編纂『小川町史』小川町役場（熊本県）、1979年。
• - 歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
• - 秦郁彦編『日本官僚制総合事典1868-2000』第2版、東京大学出版会、2007年。

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