稲川英希

稲川英希：稲川会を巡る激動の人生

稲川英希（いながわ ひでき）は、1976年に神奈川県横浜市に生まれた日本のヤクザです。指定暴力団・稲川会の本部長、そして三代目稲川一家の総長という要職を歴任しました。父は稲川会三代目会長である稲川裕紘（本名：土肥）であり、文字通りヤクザ一家に生まれたサラブレットです。

エリートとしての側面と異例の転身

稲川英希は、私立の相洋高等学校、東海大学工学部を卒業後、イギリス留学も経験。大学卒業後は実業家として活動していました。しかし、実業家としてのキャリアは長くは続かず、わずか3年後の27歳という若さで、異例の三代目稲川会本部長に抜擢されます。

稲川会を揺るがした跡目争い

稲川英希の父であり、稲川会三代目会長であった稲川裕紘の死後、稲川会では後継者争いが勃発しました。その中で稲川英希は、後継者として名乗りを上げましたが、最終的には争いに敗れ、平成19年（2007年）3月に引退という決断を下しました。

分裂の危機と回避

平成18年（2006年）7月19日、京葉七熊一家五代目総長・角田吉男を稲川会四代目とする継承式が横浜市の稲川会系組事務所で行われました。同じ時刻に静岡県熱海市の稲川会本家においても、「五代目」を継承する儀式が執り行われ、稲川会は分裂の危機に瀕しました。しかし、事態は急展開を迎えます。稲川会の創設者であり、稲川英希の祖父でもある稲川聖城が角田側の式典に出席したことが判明。事態を重く見た稲川英希は、角田と直接会談を行い、角田四代目体制での一本化に合意し、分裂の危機を回避しました。この決断は、稲川会内部の混乱を収める上で大きな意味を持ちました。

参考文献

* 大下英治『首領 昭和闇の支配者 三巻』 大和書房〈だいわ文庫〉、2006年。ISBN 4-479-30027-9。

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