稲木芳雄

稲木芳雄：静岡市の実業家

稲木芳雄（いなぎ よしお）は、静岡市において実業家として知られる富裕層の一人です。生没年は不詳ですが、士族の家に生まれ、家業を通じて地域経済に多大な貢献をしました。主に皮革骨脂の製造と販売を行う『稲木商店』を経営し、静岡の商業の発展に寄与しました。

経歴

稲木は製革業を営む稲木亀次郎の長男として生まれ育ちました。静岡商業学校を卒業した後、彼の人生は大きく変わります。若い頃、彼は東都に移り住む中で体験を積んだ後、徴兵されて東京砲兵連隊に志願。そこで陸軍の砲兵少尉に任命されたことが記録されています。

部隊から退役した後、故郷に戻って父の事業を継ぎ、皮革骨脂の製造と販売に従事します。1924年、父の死去に伴い家業を相続し、稲木商店はさらに発展を遂げます。この成功は彼自身の努力だけではなく、当時の市場環境にも利するものでした。また、彼は資本家として多様な事業に投資し、地域の経済的な発展に寄与しました。

人物像

稲木芳雄はその温厚で誠実な性格で知られ、地域のために尽力する方法で名を馳せました。寺田蘇人の著作『部落の人豪』でも紹介されており、彼は静岡市の部落における有力者としての地位を確立しています。彼の人格や声望、知恵と能力は、当時の地域社会において広く認識されており、彼は「遠州の北村君」と共に、東海地域の双璧であると評されています。

また、稲木の業績は当時の商業記録にも記されています。『帝国信用録 19版 大正15年』では皮革業に関連する情報があり、『大日本商工録 昭和7年版』では彼の事業形態や所在地が詳述されています。その詳細な記録からも、彼が静岡市において重要な役割を果たしていたことが分かります。

参考文献

彼の生活や業績について知るための資料として、いくつかの文献が存在します。特に、1917年から1920年に刊行された『静岡商工人名録 2巻』や、1920年に発表された寺田蘇人の『部落の人豪』が参考になります。また、久保田甚作の『静岡県職業名鑑 御成婚紀念』や、帝国興信所の『帝国信用録 19版 大正15年』なども、稲木芳雄に関する貴重な情報源です。

彼の業績は現在も地域商業の背景に影響を与えており、稲木芳雄の存在は静岡市の歴史において重要な位置を占めています。

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