稲生の戦い

稲生の戦いについて

稲生の戦い（いのうのたたかい）は、1556年8月24日に現在の名古屋市西区で織田信長とその弟信行（信勝）との家督争いから起こった戦闘で、稲生合戦とも称されます。この合戦は、尾張国の有力武将である織田家の内部での権力闘争が引き金となっていました。稲生とは尾張国春日井郡の庄内川に近い地名です。

合戦の背景

稲生の戦いの起こるまで、織田家はその中でさまざまな対立がありました。信長と信行は、同じ父のもとに生まれた兄弟であり、その父は名将であった信秀です。信秀は尾張国の守護代にあたる清洲織田氏に仕え、領土を広げ、さまざまな戦争を経て織田家を強大にしました。しかし信秀は急死し、信長が嫡男としてその地位を引き継ぎました。信行は信秀が末森城に居住していた際に別居していました。

信長は尾張国内の権力を強化していきましたが、その過程では周囲からの批判も多く、「うつけ者」とも呼ばれました。このような中、信行派の有力者たちが周囲の支持を集め、信長を排除しようという動きが強まりました。信行は弾正忠の名を名乗り、信長の直轄領を押さえて反抗の姿勢を見せました。

合戦の進行

合戦の日、信長軍は清洲から於多井川を越え、両軍が交戦を始めました。信行軍は約1,700人の兵を擁していましたが、信長軍は700人という少数でした。合戦中、信長軍は苦戦を強いられ、信長本陣が危機に瀕しますが、信房や森可成などの奮闘により徐々に持ち直します。

信長はその大声で兵士たちに指示を出し、内苦しみながらも激戦の中で反抗を続けます。信長軍は林軍に攻撃を仕掛け、主だった武将たちを次々と討ち取ることに成功、最終的に信行軍は崩れ去りました。信行軍は末盛城や那古野城に逃げ込みますが、信長はその攻撃を続け、城下を焼き払いました。

合戦後の展開

信行は母の取り成しにより助命され、信長と対面しましたが、再度の反抗の企ては失敗に終わり、信長の命令で暗殺される運命を辿ります。信長は信行の母に謝罪を受けましたが、もはや信行には容赦がありませんでした。

文化的影響

稲生の戦いは多くの作品の題材にもなっています。その中にはコミック作品や歴史書もあり、この合戦が持つ重要性を物語っています。この合戦は織田信長の波乱に満ちた生涯の一部であり、彼の後の勢力拡大につながった重要な出来事として位置づけられています。

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