那古野城

那古野城（なごやじょう）

那古野城は、戦国時代に尾張国愛知郡那古野（現在の愛知県名古屋市中区）にあった日本の城です。

概要

那古野城は、16世紀前半に今川氏親によって築城されました。約30年間存在した後、廃城となりましたが、その跡地は半世紀後に再び城地として取り立てられ、名古屋城へと生まれ変わりました。

歴史

今川氏の時代

那古野は、元々駿河の今川氏親が尾張東部まで支配領域を拡大していた時期に、その庶流である那古野氏が領有していました。斯波氏が尾張を領有した後も那古野氏はその地に留まっていました。大永年間には、今川氏親が尾張進出の拠点として、現在の名古屋市中心部が広がる熱田台地の西北端に「柳ノ丸」を築城したのが那古野城の始まりとされています。この城の城主は、今川氏親の一族で、一説には那古野氏の家督を継いだとも言われる今川氏豊という人物だったと伝えられています。

織田氏の時代

天文7年（1538年）、勝幡城の織田信秀が計略によって今川氏豊を追放し、那古野城を奪いました。信秀は那古野城を拠点とし、勢力を拡大しました。かつては、信秀が那古野城を奪った時期は天文元年（1532年）とされていましたが、近年の研究では、天文7年（1538年）が有力視されています。この背景には、山科言継の日記『言継卿記』に、天文2年（1533年）に信秀が勝幡城に招かれた際、「那古野の今川竹王丸（後の氏豊）」に会ったという記述があることが影響しています。また、織田信長の生誕地についても、信秀が幼い信長に那古野城を譲ったという説が有力でしたが、近年では勝幡城説が有力とされています。

その後

弘治元年（1555年）、織田信秀の後を継いだ織田信長は、一族の織田信友を滅ぼして清須城に移りました。信長が去った後の那古野城は、信長の叔父である信光や重臣の林秀貞などが一時的に入城しましたが、やがて廃城となりました。

廃城から約50年後の慶長14年（1609年）、徳川家康がこの城の跡地に目をつけ、名古屋城の築城に着手しました。当時の那古野城跡は、鷹狩に使われるような荒れ地になっていたと伝えられています。

遺構

中世の城郭である那古野城は、近世城郭である名古屋城の内部に完全に組み込まれたため、中世の那古野城を直接偲ばせる遺構はほとんど残っていません。しかし、名古屋城二之丸が那古野城の跡地であり、現在、二之丸には那古野城址の碑が建てられています。また、那古野の地名は名古屋城の西南に残っていますが、こちらは現在は「なごの」と読まれています。

所在地

愛知県名古屋市中区二の丸1

交通アクセス

名古屋城#交通アクセスを参照してください。

脚注

参照：参考文献

参考文献

『尾張名所図会』 第一巻 那古野古城、1844年
「特別史跡名古屋城跡の概要」『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』pp.25 名古屋市 2018年

関連項目

那古野神社

外部リンク

那古野城跡　愛知県観光協会

もう一度検索