稲田周一

稲田周一

稲田周一（いなだ しゅういち、1902年2月26日 - 1973年2月5日）は、日本の官僚であり、内務省と宮内省で要職を歴任しました。特に侍従長としての活躍が知られています。

生い立ちと学歴

新潟県出身で、政治学者である稲田周之助の長男として生まれました。名門の開成中学校、第一高等学校を経て、1925年に東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業しました。1924年11月には、高等試験行政科試験に合格しており、若くして官僚としての道を歩み始めました。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業後、内務省に入省し、佐賀県属としてキャリアをスタートさせました。その後、群馬県で工場監督官兼社会課長を務めるなど、地方行政にも携わりました。その後、拓務省を経て、1931年12月には内閣官房に転じ、内閣書記官や内閣官房総務課勤務を歴任しました。内閣官房では、会計課長や総務課長といった要職を歴任し、その手腕を発揮しました。

滋賀県知事から宮内省へ

1945年4月には滋賀県知事に就任し、終戦を迎えました。しかし、1946年1月に知事を退任し、同年2月には宮内省内記部長に転任しました。その後、侍従次長に就任しましたが、同年9月から1950年10月まで公職追放となりました。

侍従長としての活躍

公職追放解除後、侍従次長に復帰し、1965年3月から1969年9月まで侍従長を務めました。侍従長として天皇に近侍し、その公務を支えました。退官後は、宮内庁病院にて1973年2月5日に肝臓がんのため亡くなりました。

親族

父は法学博士で中央大学教授を務めた稲田周之助です。弟には文部事務次官を務めた稲田清助がいます。

栄典

1944年7月20日には、満州国国勢調査紀念章を授与されています。

関連文献

稲田周一に関する研究や記録は、以下の文献で確認できます。

岸田英夫『侍従長の昭和史』(朝日新聞社、1982年) および改訂版『天皇と侍従長』(朝日文庫、1986年)：稲田周一の評伝を収録
『NHKスペシャル セレクション　昭和天皇二つの「独白録」』(日本放送出版協会、1998年)：稲田による1946年2月から47年1月までの備忘録を収録

まとめ

稲田周一は、内務官僚としてキャリアを積み、滋賀県知事を経て、宮内省で侍従長を務めるなど、激動の昭和史において重要な役割を果たしました。その生涯は、官僚としての卓越した能力と、天皇への忠誠心に満ちたものでした。

もう一度検索