稲荷台遺跡 (板橋区)

稲荷台遺跡：縄文早期の息吹を伝える遺跡

稲荷台遺跡は、東京都板橋区稲荷台に位置する縄文時代早期の遺跡です。昭和初期に偶然の発見からその存在が明らかになり、日本の考古学研究に大きな影響を与えました。

発見の経緯と初期の調査

1937年（昭和12年）、当時の稲荷台小学校（現在の板橋区立加賀小学校）の敷地内で、一人の少年が土器を掘り出したことが、遺跡発見のきっかけとなりました。この偶然の発見を受け、1939年（昭和14年）から本格的な発掘調査が開始されました。

調査の結果、褐色土と関東ローム層の間から、特徴的な尖底土器が多数出土しました。これらの土器は、器面全体に縦方向の撚糸文様が施されているという特徴を持っていました。この文様と土器の形状から、出土した土層や他の形式の土器との比較検討の結果、当時としては最も古い時期に属する縄文土器であると判断され、大きな注目を集めました。

稲荷台式土器とその意義

稲荷台遺跡から出土した土器と同形式の土器は、「稲荷台式土器」と呼ばれるようになりました。稲荷台式土器は、縄文時代早期の土器の編年を考える上で、重要な指標とされています。その特徴的な文様や形状は、当時の人々の生活や文化、精神性を知る上で貴重な資料となっています。

現在の稲荷台遺跡

現在、稲荷台遺跡は加賀小学校前に記念碑が残るのみとなっています。しかし、この地から発見された土器が日本の考古学研究に果たした役割は大きく、その歴史的意義は आज भी 잊られていません。記念碑は、かつてこの場所に縄文時代の人々が生活していたことを静かに物語っています。

参考文献

『日本歴史地名大系13　東京都の地名』-（2002年、平凡社）P873「稲荷台遺跡」
『日本歴史大事典 1』-（2000年、小学館）P235「稲荷台遺跡」（執筆者:可児通宏）

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