稲葉清右衛門

稲葉 清右衛門について

稲葉清右衛門（いなば せいえもん）は、1925年3月5日に茨城県明野町で生まれ、2020年10月2日に95歳で逝去した、日本の技術者および経営者である。彼は工学博士の学位を東京工業大学から取得し、主に富士通で数値制御装置や電気油圧パルスモーターの研究開発に取り組んだ。

稲葉は、NC工作機械の初期において多大な功績を残し、後に富士通から独立したファナックの設立に関与した。彼は同社の経営者として、働きかけでファナックをNC装置と産業用ロボットの世界的なリーダーへと成長させた。具体的には、ファナックのNC装置の世界市場でのシェアは50％、国内シェアは75％に達し、その際立った利益率の高さも話題となった。

経営者としての姿勢

稲葉は「研究開発と企業経営は切り離せない」という信念の下、社長在任中も研究活動に積極的に関与していた。彼は、技術者に目標を与え、定期的に開催する技術会議での報告を通じて指導を行っていた。名誉会長の位置にあっても、2013年まで経営本部長や研究本部長といった役割を果たしていた。後には、ファナックのいくつかの子会社の代表を辞したことから、経営の第一線からは身を引いたとも考えられている。

技術者としての貢献

技術者としての稲葉の業績も評価されており、特にNC工作機械の数値制御や電気油圧パルスモーターに関する研究に多くの著書や記事を執筆している。彼はまた、日本ロボット学会や精密工学会といった学会の役職を歴任し、技術の標準化にも寄与した。特に、その活動の一環として、JIS（日本工業規格）における数値制御工作機械の基準策定への関与が挙げられる。

受賞歴

稲葉は、その業績から多くの賞や栄典を受けてきた。エンゲルバーガー賞や紫綬褒章、藍綬褒章、勲二等瑞宝章など、その数は多岐にわたっており、故郷である茨城県の名誉市民にも選ばれている。さらに、ブルガリアやルクセンブルクからも勲章を受け、国際的にもその業績が認知されている。

家族と人柄

稲葉の家系は江戸時代から続く名家で両親は彼の成長を支えた。彼の妻は望であり、1947年に結婚。長男の善治はファナックの現社長として活躍し、孫の清典も取締役となっている。稲葉は酒好きとしても知られ、職場でのエピソードもあるほどだが、その人物像は技術者としての真剣味と共に、人間的な温かみも持ち合わせていた。

最後に

稲葉清右衛門は日本のものづくり界に多大な影響を与えた技術者であり、経営者としても高い評価を受け続けている。彼の業績は今後の技術発展にも受け継がれていくことでしょう。

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