稲葉襄

稲葉襄の概要

稲葉襄（いなば のぼる）は、1914年2月15日に千葉県市原市舞鶴で生まれ、2006年1月8日に心不全で亡くなった日本の著名な経営学者です。彼は神戸大学と広島経済大学で名誉教授としての地位を持ち、経営学博士として、特に中小工業経営、家庭経済学、仏教的企業経営学に関する研究に貢献しました。学術界における彼の影響は計り知れず、これらの専門領域に多くの業績を残しています。

学歴と経歴

稲葉氏は1931年に千葉県立大多喜中学校を卒業し、その後1934年に和歌山高等商業学校を卒業しました。1937年には神戸商業大学を卒業し、さらに研究科に進学し、1939年に修了します。その後、和歌山高等商業学校に講師として採用され、1940年には同校の教授に就任しました。

戦後は、1944年から1946年にかけて軍需省や商工省で勤務し、同年には神戸経済大学附属経営学専門部に移り、講師や教授として活躍しました。1950年には神戸大学経営学部の助教授になり、1958年には教授に昇進しました。1969年には経営学部長及び大学院経営学研究科長に就任し、1977年に神戸大学を退職した後は名誉教授の称号を受け、広島経済大学で教授として後進を指導しました。1986年にはその功績に対して勲二等瑞宝章を授与されています。

禅との関連

稲葉は、和歌山高等商業学校在学中から禅に興味を持ち、長年にわたって参禅修行を続けました。特に1935年には神戸商大の仏教青年会を再建し、1955年には神戸大学の仏教青年会を再び設立、さらに1956年には参禅団体の神戸大学般若団を創立し、禅の研究と実践に力を注ぎました。春見文勝や西片義保に師事し、仏教思想を経営学に取り入れる試みを行いました。

主な著作

稲葉氏は多くの著書を執筆しており、それらの内容は経営学の基礎を深く探求しています。主な著作には以下のようなものがあります：

• - 『家庭経済学』 (中央経済社、1969年)
• - 『西欧の工業経営』 (中央経済社、1971年)
• - 『企業経営学要論』 (中央経済社、1991年)
• - 『東洋的思考と企業経営』 (三和書店、1999年)
• - 『仏教的企業経営学の思考』 (襄山会、2005年)

さらに、博士論文として『中小工業問題の展開過程』を1962年に提出し、経営学における多様な視点を示しました。著作集や編著書も豊富であり、経営と人生の関係についても多くの論文を発表しています。

弟子と影響

稲葉氏の影響を受けた文人たちは多岐にわたり、宗像正幸（神戸大学名誉教授）、山下哲（大阪産業大学教授）、戸田千之（広島経済大学名誉教授）などが彼の弟子です。彼は「襄山会」という一門を組織し、後世にその思想を伝え続けました。

稲葉襄はその学問の影響力と人間性から、経営学という分野において特別な存在感を放ち続けています。

もう一度検索