穂坂路

穂坂路の歴史と道筋

穂坂路（ほさかみち）は、甲斐国と信濃国を結ぶ街道の一つで、別名を川上路とも呼ばれています。この道は、甲府から北西に進み、茅ヶ岳の南麓を通過した後、小笠原を経て塩川沿いに江草や小尾を通り、信州峠を越えて信濃国の川上郷に達します。

概要と道筋の歴史

『甲斐国志』によれば、穂坂路は江戸後期の地誌で甲斐国から他国に通じる九本の道のうちの一つとして記録されています。現在では、この道が甲斐国府と穂坂牧を結ぶ重要な交通路ではないかと考えられています。穂坂牧は、甲斐の三御牧の一つで、かつて名馬の貢納が行われていたことでも知られています。

中世における穂坂路の役割

戦国時代には、穂坂路は武田氏にとって重要な軍事路線となりました。特に、1543年には武田晴信が信濃に侵攻する際、穂坂路を通じて軍を進めたという記録があります。進軍の経路として、若神子や海の口、宮ノ上、前山などを通り、長窪城を攻めるために進出しました。さらに、同じく武田氏の勝頼も、1582年の織田信長・徳川家康連合軍の侵攻時に穂坂路を利用しています。

悪化の一途を辿った武田氏の滅亡後も、穂坂路は東西の勢力の駆け引きの中で利用されました。特に「天正壬午の乱」では、この街道沿いに築かれた小尾小屋や獅子吼城などが重要な拠点となりました。これらの城砦は、甲斐・信濃の争乱においてそれぞれの勢力が布陣する場として機能していました。

江戸時代と宿駅の発展

近世になると、穂坂路は宿駅制度を通じて旅人や商人たちの重要な通行路となりました。特に、龍地宿はこの路線上に位置し、甲州街道とも接続する重要な地点でした。古文書によると、武田氏からの特権を享受し、商業活動が活発に行われていたことも確認されています。江戸時代には、穂坂路沿いの湯村温泉などの観光地も栄え、道は多くの人々に利用されました。

まとめ

穂坂路は、古代から近世にかけて甲斐と信濃を結ぶ重要な交通路としての役割を果たし、戦国時代には軍事上の大動脈ともなりました。現在でもその歴史的な道筋と、周囲に残る遺構が地域の文化や歴史を物語っています。穂坂路を通じて、時代の流れや人々の交流を感じることができるのです。

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