空のイノセント

空のイノセント

『空のイノセント』（そらのイノセント）は、成人向け漫画家である秋葉凪人（別名義：秋葉凪樹）によって描かれた作品です。コアマガジン発行の成人向け漫画雑誌『漫画ばんがいち』において、1996年から1999年8月号にかけて連載されました。全24話が発表されています。

作品概要と特徴

本作は、作者特有の叙情的で内向的な作風が特徴であり、読者からの人気を博しました。しかし、連載は当初から休載や作画の遅れがしばしば発生し、一時は長期休載も挟んだ結果、連載末期は隔月掲載となるなど、順調とは言えない状況でした。単行本は2巻まで刊行されましたが、完結を待たずに中断。2020年時点においても作品は未完のままとなっており、最終巻となるはずだった第3巻に収録される予定だった単行本未収録話が5話存在します。また、作品が連載されていた『漫画ばんがいいち』は、2018年に休刊しています。

あらすじ

物語は、主人公である沢田航が夏季講習のため、縁戚にあたる村上家で過ごすことになるところから始まります。彼はそこで、幼少期を共に過ごした村上家の四女・空との再会を喜びますが、その夜、思いがけず村上家の女性たちによって性的陵辱を受けてしまいます。

子供の頃と変わらず、純粋な存在である空がそばにいるにも関わらず、自身の身に起きた出来事によって自己を穢れた存在と捉えるようになった航。しかし、彼はその一方で、自身を支配する抗いがたい肉欲へと沈み込んでいくことになります。物語は、純粋さと穢れ、自己嫌悪と欲望の間で揺れ動く航の心理を中心に展開されます。

主な登場人物

沢田 航（さわだ こう）: 本作の主人公。
村上 空（むらかみ そら）: 村上家の四女。主人公の航とは幼なじみ。
村上 砂緒（むらかみ すなお）: 村上家の三女。
村上 架名（むらかみ かな）: 村上家の次女。
村上 風見（むらかみ ふみ）: 村上家の長女。
村上 美樹（むらかみ みき）: 村上家の未亡人であり、村上家の母。
村上 篤（むらかみ あつし）: 美樹の夫。高名な映像作家でしたが、物語開始の1年前に自宅で転落死しています。
沢田 明人（さわだ あきと）: 主人公・沢田航の父親。

単行本情報

単行本はコアマガジンより2巻まで刊行されています。

第1巻 空の羽音
発行：1997年10月
ISBN：ISBN 4877341323
収録話：
第01話 空の羽音
第02話 雲の下
第03話 欲望の虜囚
第04話 檻の中
第05話 白く汚れていくもの
第06話 瞳、閉じても
第07話 犬の視界
第08話 雨の天井
第09話 家族の食卓

第2巻 おしまいの日
発行：1998年2月
ISBN：ISBN 4877341560
収録話：
第10話 闇の瞳
第11話 汚れた肉片
第12話 灰かぶりの夢
第13話 抱擁
第14話 おしまいの日 (1)
第15話 おしまいの日 (2)
第16話 おしまいの日 (3)
第17話 おしまいの日 (4)
第18話 おしまいの日 (5)
第19話 おしまいの日 (6)

連載された全24話のうち、単行本に収録されなかった以下の5話は、本来、最終巻となるはずだった第3巻に収められる予定だったとされています。

単行本未収録話：
第20話 おしまいの日(7)（『漫画ばんがいち』1998年5月号掲載）
第21話 おしまいの日の終わり（『漫画ばんがいち』1999年3月号掲載）
第22話 燃えさかる家（『漫画ばんがいち』1999年4月号掲載）
第23話 からっぽの空（『漫画ばんがいち』1999年6月号掲載）
* 第24話 空に還る(1)（『漫画ばんがいいち』1999年8月号掲載）

作品は連載が中断したまま、2020年時点でも完結に至っていません。掲載誌も休刊しており、物語の結末は描かれないままとなっています。

もう一度検索