秋葉凪人

秋葉 凪人（あきば なぎと）

1971年12月17日に兵庫県神戸市で生まれた秋葉凪人氏は、同地を拠点に活動する日本の男性漫画家です。かつては秋葉凪樹（あきば なぎ）というペンネームを使用していました。代表作として『きらきら』や『空のイノセント』などが挙げられ、また同人サークル『EDIO-EMIT』や『Re-BORN』などでの活動も知られています。

略歴

秋葉氏は1994年、メディアックス発行の「コミックジオトピア第3号」に掲載された短編『巧くんの場合』によって、漫画家としての第一歩を踏み出しました。その後、商業誌を中心に活動していましたが、2000年にその活動を一時休止し、故郷である神戸へと戻りました。約6年間のブランクを経て、2006年にペンネームを秋葉凪樹から現在の秋葉凪人へと改め、再び創作活動を開始しています。

作風

秋葉凪樹名義で活動していた時期は、その独特の柔らかな筆致と叙情的な絵柄、そして登場人物の繊細な心理描写や独自の世界観を持つシチュエーション構築によって、一部に熱狂的なファンを獲得していました。特に、逆レイプや顔面騎乗といったフェティシズムを色濃く反映した描写が多く見られ、主人公が受身の立場に置かれる作品が少なくない点が特徴で、特定の読者層から強い支持を得ました。活動再開後の秋葉凪人名義では、絵柄はよりシンプルな方向へと変化した一方で、物語の運びは寓話的で、内面的な世界観を深く掘り下げる作風へと変化しています。

エピソード

プロデビュー以前、秋葉氏は富士見書房の『ドラゴンマガジン』に掲載されていた読者参加企画「ガメル連邦」の常連投稿者であり、また漫画家の神崎将臣氏のアシスタント経験を持っています。同人活動では、アダルトゲーム『ToHeart』の人気キャラクターであるマルチの等身大抱き枕の原画を手掛けたこともあります。

商業作品の制作においては、多忙になるにつれて筆の速さや整理の乱れが目立つようになり、ワニマガジン社発行の『COMIC快楽天』1998年7月号に掲載された「さくらの頃 第3話」では、一部のページが下描きの状態で発表されるという出来事がありました。このため、現在でもファンや評論家の間で「鉛筆作家」というイメージで語られることがあります。

コアマガジン発行の『漫画ばんがいち』で連載されていた代表作の一つ『空のイノセント』は、惜しまれつつも完結を前に連載が中断し、未完のままとなっています。最終巻となるはずだった第3巻に収録される予定だった単行本未収録の作品が5本存在するとされています。

作品リスト（一部）

単行本

「秋葉凪樹」名義
『檻の中から』 (メディアックス, 1995年)
『放課後』 (コアマガジン, 1995年)
『きらきら』 (ワニマガジン社, 1997年)
『空のイノセントI 空の羽音』 (コアマガジン, 1997年)
『空のイノセントII おしまいの日』 (コアマガジン, 1998年)
『放課後（復刻版）』 (コアマガジン, 2001年)
『檻の中から リクエスト版（復刻版）』 (メディアックス, 2001年)
「秋葉凪人」名義
『パンダかめんの最期』 (茜新社, 2011年)
『お姉ちゃんは痴女』 (海王社, 2019年 / 楽楽出版, 2019年)

単行本未収録作品
商業誌やアンソロジーなどに掲載された作品が多数存在します。以下はその一部です。

コミックハウス系雑誌掲載作品：『釣りに行こう』『小川のウンディーネ』『かえるになった少年』『月が笑う』『はるかとおくのさいわいに』『十月のとおい夢』『noiz』など。
ワニマガジン社系雑誌掲載作品：『まぼろしの月』『青春のバカヤロウ』『これで おしまい』『さくらの頃』シリーズなど。
コアマガジン系雑誌掲載作品：『箱の中』『まっくら森の魔法使い』、『空のイノセント』未収録エピソード（第20話以降）など。
* その他雑誌・アンソロジー掲載作品：『小川のウンディーネ（夢雅版）』、『正義さん』（K.O.F 4コマ全集）、『あの日、見上げた月』（リーフアンソロジーコミック）、『メルティランサー』シリーズ、『FROM CHUN-LI』（カプコン美少女アンソロジー）、『おはよう。』（Kanonアンソロジー）、『Remember meeting you』（秋桜の空にアンソロジー）など。

秋葉凪人氏は、叙情的で時にフェティッシュな世界観を描き出し、漫画界において独自の存在感を放っています。

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