突撃

突撃

突撃（とつげき、英: charge）は、主に歩兵が行う戦術で、敵の陣地などに突入し、敵を撃破しつつ占領する戦術を指します。騎兵が行う場合もあり、馬の力を利用して敵を蹴散らすこともあります。

概要

突撃は、戦争という大規模な戦闘が発生して以来、歩兵によって担われてきた基本的な戦術行動の一つです。拠点の最終的な制圧を決定づける重要な役割を果たします。兵器の発達に伴いその形態は変化してきましたが、敵陣を制圧するために迅速に移動するという本質的な目的は変わっていません。戦闘における攻撃には、散発的な接触も含まれますが、戦術的な意味では、攻撃の最終段階と位置づけられます。

しかし、突撃は、自軍が防御側からの激しい攻撃にさらされることを意味し、損害は防御側の2倍に及ぶこともあります。そのため、突撃前に相手の戦力を削ぐことが重要な戦略となります。

前装式単発銃が主流だった時代には、一斉射撃後、再装填せずに銃剣を装着した小銃で敵陣に突入するのが一般的でした。しかし、ボルトアクションの登場で再装填が迅速になると、この戦法は攻撃側に多くの犠牲を強いるようになりました。機関銃などの自動火器が発達してからは、少数の防御側が設置した火器によって攻撃側の大部隊が足止めされるようになり、後方からの砲撃や航空機爆撃などの支援攻撃を受けて突撃する形に変化しました。初期の戦車は、塹壕陣地を踏破し、歩兵突撃を支援することを目的としていました。現代戦術では、攻撃の最終段階で近接戦闘部隊が行い、地形によって強襲上陸、空挺強襲、突撃渡河などに分類されます。

現代戦闘における突撃

現代の突撃では、突撃前の準備が非常に重要です。装備の確認や交通路の整備、障害物の破壊や制圧、地雷の除去など、入念な「突撃作業」が行われます。また、突撃部隊の突入前後の行動を支援するために、計画的な射撃「突撃支援射撃（assault support fire）」が行われます。部隊は突撃発起位置（AP, Assault Position）に配置され、突撃支援射撃の合図とともに一斉に突入します。

突撃では、支援射撃を受けながら迅速に障害物を処理し、敵の防御火力を制圧しながら目標を占領します。工兵の支援を最小限に抑え、自力でこれらの作業を遂行する必要があります。

突撃と火器

現代戦闘では、突撃に使用される兵器も状況に応じて変化します。アサルトライフルは軽量で携帯性が高く、速射性があり、整備性にも優れるため、信頼性が高い武器として広く使われています。

ただし、突撃時に目標に向かって無差別に連射することは、弾薬の浪費を招き、命中精度を著しく低下させます。これは、アサルトライフルが人間が扱う以上避けられない問題であり、現代の戦闘レベルでは、フルオート射撃は歩兵の戦意を高揚させる程度の意味しかないという評価もあります。そのため、近代化された新しいアサルトライフルは、無駄な連射による弾薬消費を抑えるため、バースト射撃などの速射機能に制限が加えられているものも多く存在します。

分隊支援火器は、移動する歩兵を援護するために速射機能が強化されていますが、こちらは半固定状態で制圧射撃を行うことを前提としており、アサルトライフルとは異なる目的で使用されます。機関銃は、移動しながらの射撃は行わず、戦車やヘリコプターなどに固定された状態で突撃してくる敵兵を迎撃するのに使用されます。銃本体が大型であるため、兵士が通常携行することはほとんどありません。

参考書籍

『新・戦争のテクノロジー』（ジェイムズ・F・ダニガン / 訳：岡芳輝 ISBN 4-309-24135-2）

関連項目

陣地攻撃
陣地防御
人海戦術
バンザイ突撃
一般突撃章
歩兵突撃章
戦車突撃章
電撃戦
白兵戦
肉弾戦
チャージ（戦術）
集団騎兵隊攻撃

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