分隊支援火器

分隊支援火器概要

分隊支援火器（ぶんたいしえんかき、英: Squad automatic weapon、SAW）は、軽量かつ小型化された機関銃であり、歩兵用小銃と同じ弾薬や部品を用いることができるよう設計されています。この武器は、1名の兵士が運用できることを重視しているため、主に歩兵部隊の火力支援を担う役割を果たしています。分隊支援火器は「軽機関銃」とも呼ばれることがあり、時には「軽支援火器」という名前でも参照されます。

歴史的背景

この武器の起源は、第二次世界大戦後の冷戦時代にさかのぼります。当時、西側諸国は、歩兵分隊の火器を自動小銃と汎用機関銃に統合する傾向にありましたが、東側諸国では分隊レベルにも軽機関銃を装備し続けていました。具体的には、1953年に導入されたRPD軽機関銃から、1961年以降はAKM小銃を基に開発されたRPK軽機関銃への移行が見られました。

特にベトナム戦争では、東側諸国の武器体系を採用したベトナム人民軍が自身の部隊に軽機関銃を配備する一方で、アメリカ軍は汎用機関銃であるM60機関銃のみを装備していました。このM60は重量があり、特に熱帯雨林や山岳地帯での行軍において非常に困難な輸送を強いられ、これがアメリカ軍における軽機関銃の必要性を再評価させる要因となりました。

アメリカ軍の対応

1960年代末に入って、アメリカ陸軍は歩兵部隊の火力に関する研究を始め、戦訓を基にした新たな武器の必要性を強く認識するようになります。「小銃分隊の各射撃班に必要な機関銃手を配置する」ことが、火力のバランスを取る上で重要であると判断されたため、1972年には分隊支援火器に関する要求事項が策定されました。

その後、1979年には比較試験が実施され、最終的にM249軽機関銃、通称ミニミが採用されました。これにより、歩兵部隊は軽機関銃を使った効果的な火力支援を実現する道を開いたのです。

イギリス軍の展開

イギリス軍でも、L7汎用機関銃（GPMG）に加え、旧式のブレン軽機関銃を改修し続けていました。1985年にはL85小銃の発展型であるL86A1 LSWが制式化されましたが、持続射撃能力の不足が課題となり、2001年にはミニミ軽機関銃を緊急調達して2004年に正式採用されました。そして2018年には分隊単位でL7を標準装備とし、LSWとミニミの導入が見直されることとなりました。

現代の展望

一方、アメリカ海兵隊は2010年からM249の一部をM27 IAR（歩兵自動小銃）に置き換える方針を打ち出しました。これはH&K HK416の派生型で、高い射撃精度とM16小銃との互換性が評価されていますが、持続射撃能力が不足しているため、完全な交替は難しいとされています。

分隊支援火器は、現代の戦闘においても依然として重要な役割を果たしており、その設計思想は歴史的な経験に基づくものです。今後も各国の軍隊における火力支援の中心的存在として、発展が期待されています。

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