竇妙

竇妙の生涯と権力闘争

竇妙（とう みょう）は後漢時代における皇后であり、桓帝の3番目の皇后として知られています。彼女は扶風平陵県（現在の陝西省咸陽市秦都区）出身で、大将軍の娘として育ちました。彼女の物語は、権力闘争や悲劇、そして歴史に残る出来事で彩られています。

後宮への入宮と皇后の地位

当初、竇妙は後宮に入って貴人の地位を得ました。延熹8年（165年）、桓帝はその時の皇后である鄧猛女を廃し、新たに側女の田聖を皇后にしようとしました。しかし、太尉の陳蕃が田聖の出自を問題視し、異論を唱えました。結局、出自の高い竇妙が皇后に任命されましたが、桓帝に無視され、孤立した生活を強いられました。彼女は桓帝を畏れ、沈黙を貫くしかありませんでした。

皇太后としての権力と反宦官運動

永康元年（167年）冬、桓帝の病状が悪化し、田聖などの妃嬪たちを貴人に昇格させました。同年12月28日（168年1月25日）、桓帝が崩御しました。竇妙は皇太后として即位し、桓帝の遺志に従い、田聖を殺害しました。しかし、他の貴人たちの虐殺を試みるも、中常侍の管覇と蘇康の諌めにより、思いとどまりました。

桓帝には子がいなかったため、従甥にあたる劉宏（霊帝）が帝位を継承しました。竇妙は、皇太后として権力を掌握し、父の竇武には権限を与えました。桓帝の時代から権力を握っていた宦官たちに対抗すべく、竇武は陳蕃と結託し、宦官排斥を試みました。建寧元年（168年）5月、彼女の許可のもと、竇武と陳蕃は中常侍の管覇と蘇康を殺害しました。しかし、さらなる計画は失敗に終わりました。

権力の崩壊と竇妙の悲劇

竇武と陳蕃は焦りから五営の軍を動かし、霊帝を廃位させようとしましたが、近衛軍に敗北しました。結果として、竇武は自ら命を絶ち、陳蕃は逮捕されて獄死しました。竇妙は南宮雲台に幽閉され、彼女の家族も追放されました。この混乱の最中、霊帝の実母である董氏が新たな権力を手にしました。

その後、熹平元年（172年）には母が亡くなり、6月には竇妙も悲しみにより病死しました。彼女の死は深い恨みを抱く宦官たちにより、残酷な形で扱われました。曹節や王甫らは間もなく、竇妙の遺体を城南に晒しました。数日後、竇妙の皇后の位を取り消そうとする試みがなされましたが、官員たちの諌めによって霊帝は思いとどまりました。

7月、竇妙は「思」の諡号を賜り、夫である桓帝の諡号を追って「桓思皇后」と称されました。後の権力闘争はさらに激化し、彼女の死後も混乱が続きました。

まとめ

竇妙の物語は、中国の歴史における権力の裏側や、個人の悲劇を象徴しています。彼女は愛と権力の狭間で苦しみ、その生涯を終えることになりました。竇妙の歴史的な役割は、彼女の死後も暗い影響を及ぼし、権力闘争は続くことになります。

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