竇皇后 (漢文帝)

竇皇后（とうこうごう）

竇皇后は、前漢の文帝の皇后であり、景帝と梁王劉武の母として知られています。彼女の生涯は、呂后の侍女から皇后、そして太皇太后へと、目覚ましい変化を遂げました。

生涯

元々は呂后の侍女であり、竇姫と呼ばれていました。呂后から代王劉恒（後の文帝）に下賜された際、その美貌と賢さで劉恒の寵愛を一身に受け、二男一女をもうけました。

前180年に呂后が死去し、呂氏の乱を経て劉恒が皇帝として擁立されると、竇姫の運命は大きく開花します。文帝の嫡出の皇子たちが早世したため、前179年に竇姫が産んだ劉啓（後の景帝）が皇太子に立てられ、竇姫自身も皇后の座に就きました。

竇皇后には二人の兄弟がおり、幼い頃に離れ離れになっていました。弟の竇広国は、後に観津の竇氏が皇后になったことを知り、皇后が自分の姉ではないかと思い手紙を送りました。竇皇后は竇広国を召し出して話を聞き、幼い頃の記憶から彼が実の弟であることを確信し、再会を喜びました。

晩年、竇皇后は失明し、文帝の寵愛は慎夫人や尹姫に移っていきました。しかし、前157年に文帝が崩御すると、景帝の即位に伴い皇太后となり、依然として大きな影響力を保持しました。

竇太后は末子の梁王劉武を溺愛し、莫大な財産を下賜しました。また、梁王を後継者にしようと考えたため、景帝との間に確執が生じました。後に劉武が死去すると、竇太后は悲しみに暮れ、景帝を恨みました。しかし、長女の館陶長公主の計らいにより、次第に悲しみを癒していきました。

前141年に景帝が崩御し、武帝が即位すると、竇太皇太后となりました。武帝が幼少であったため、竇太皇太后が政治の実権を握り、黄老思想を重視しました。彼女が生きている間は、儒生が重用されることはありませんでした。

建元6年（前135年）に崩御し、文帝と共に覇陵に合葬されました。彼女の莫大な資産は、館陶長公主が大部分を相続しました。

竇皇后は、激動の時代を生き抜き、皇后、皇太后、太皇太后として、その生涯を通して大きな影響力を行使した女性でした。

参考文献

『史記』巻49

登場作品

テレビドラマ『漢武大帝』（2004年、中国、演：グィ・アーレイ）
テレビドラマ『劉邦の大風歌 -漢建国記-』（2009年、中国、演：羅憶楠）
テレビドラマ『美人心計〜一人の妃と二人の皇帝〜』（2012年、中国、演：ルビー・リン）
* テレビドラマ『賢后 衛子夫』（2014年、中国、演：サリー・チェン）

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