立石信雄

立石信雄の生涯

立石信雄（たていし のぶお）は、1936年6月6日に大阪市で生まれ、2022年4月12日に85歳で亡くなった日本の実業家です。オムロン株式会社（旧立石電機）の創業者である立石一真の次男として、その生涯をオムロンの発展に捧げました。

生い立ちと学生時代

幼少期は活発な少年で、自然の中で遊ぶことを好みました。第二次世界大戦中には、大阪大空襲で自宅と工場が焼失したため、家族とともに京都市へ移住。この頃に英語への関心を抱き、同志社中学校、同志社高校、そして同志社大学文学部英文科へと進学しました。大学時代は、少年補導委員会の活動や合唱団での活動を通じて、社会貢献への意識と豊かな人間性を育みました。

立石電機販売への入社と海外経験

1959年に大学を卒業後、立石電機販売に入社。東京支店で貿易業務に携わり、海外との交渉を担当しました。経営への理解を深めるため、産業能率短期大学の夜間部で経営学を学びました。1961年にはコロンビア大学ビジネススクールに留学し、マーケティングと意思決定論を研究。同時に、会社のニューヨーク事務所設立のための情報収集も行いました。この留学中に、後のソニー社長となる茂木友三郎氏や、橋本綱夫氏と親交を深めています。

オムロンでの活躍

1962年に帰国後、貿易課長に昇進。以後25年間、国際関係の業務を担当し、海外事業の拡大に尽力しました。アメリカやイタリアの企業との代理店契約を交渉し、海外からの情報収集のために早朝出社も厭わなかったといいます。1965年には、立石電機が本体に吸収合併され、取締役に就任しました。

1972年には、初の海外生産拠点となるシンガポール工場の立ち上げを指揮しましたが、技術者の引き抜きや価格競争の激化により、5年で工場を閉鎖。その後、アメリカに販売子会社を設立し、海外での直販体制を確立しました。常務、専務、副社長を経て、1987年には副会長に就任しました。

1995年には、兄である孝雄氏の急逝を受け、会長に就任。APECビジネス諮問委員会の日本代表や、日経連の副会長を務めるなど、国内外で経済界の要職を歴任しました。2003年に会長を退任するまで、オムロンのグローバル展開を牽引し続けました。

人物像と家族

立石信雄は、7人兄弟の3番目として生まれ、兄弟全員がオムロンの取締役を経験しています。また、妻の父は住友電気工業の専務を務めた高洲紀雄氏です。経営学者のピーター・ドラッカーとは家族ぐるみで親交があり、コロンビア大学留学時代にはドラッカー邸を度々訪問したそうです。

立石信雄の生涯は、オムロンの発展とともにありました。彼の卓越したリーダーシップと国際感覚は、オムロンをグローバル企業へと成長させる原動力となりました。

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