立石街道・おおと越

立石街道と大と越：大阪と奈良を結ぶ歴史の道

立石街道と大と越は、大阪府八尾市と奈良県生駒郡平群町を結ぶ、古くから存在する山越えの街道です。かつては大阪と奈良を繋ぐ重要な交通路として機能し、信貴山朝護孫子寺の参拝客も多く利用していました。八尾市服部川地区で両者は分岐しますが、歴史的背景や地理的なつながりから、ここではまとめて解説します。

街道概要：八尾から平群へ

八尾寺内町（現在の八尾市本町）で八尾街道、河内街道と分岐する立石街道と大と越は、東へと延びています。現在では、八尾市内を近鉄大阪線が横切り、山本地区を通過した後、大阪外環状線や東高野街道と交差します。そして、服部川地区の中高安小学校付近で、立石街道と大と越はそれぞれ異なるルートへと分かれます。

立石街道は、現在でもハイキング道として利用されています。八尾市内は平坦な区間が多く、地元住民の生活道路としての役割も担っています。一方で、幹線道路の抜け道としても利用されるため、渋滞も発生しています。平群町内では、一部区間が県道250号線に指定されています。

一方、大と越の山間部は、雑草や雑木が生い茂り、廃道に近い状態となっています。かつての道筋を辿ることは困難であり、歴史的痕跡を探すのは容易ではありません。

立石街道：立石越えの道

立石街道は「立石越」とも呼ばれ、服部川で分岐した後、近鉄信貴線を横切りながら東進します。現在は荒れたハイキング道となっており、9合目付近には道標となる地蔵があります。峠付近で信貴山への道と分かれ、平群町久安寺地区では信貴山を一望できます。信貴畑、椹原地区を経て、麓の西宮地区で清滝街道と合流します。

奈良県側では道標に「椹原道」と記されていることもあり、信貴畑地区は道が複雑に入り組んでいますが、ハイキング道としての案内標示が整備されているため、比較的迷いづらいです。しかし、大阪府側は案内標識が少なく、利用する際には注意が必要です。

大と越：歴史の風化

大と越は、元々は「大道越」や「おうとうごえ」と呼ばれていたと推測されますが、時代とともに「おうとごへ」「おと」へと変化しました。道標には「をうとう越」「おうと越」「おと越」など、様々な表記が見られます。八尾市では「おと越」という表記が用いられています。

服部川で立石街道と分岐し、中高安小学校の北側を通って東進します。古い民家が立ち並ぶ坂道を登るルートは入り組んでおり、分かりにくいですが、ガードレールや電柱には「おうとごえ」「おうと」「オト」といった落書きが道標の役割を果たしています。ただし、誰が何の目的で書いたかは不明です。

玉祖神社付近から山道に入りますが、大と越の山間部は廃道化しており、落書き道標も役目を果たしていません。奈良県側では、十三街道との分岐点に石造りの道標があり、「左ひらの住吉」と記されていますが、「おおと越」の名称は確認できません。道自体も雑草に覆われており、存在を確認するのが難しい状態です。

経由地と周辺施設

立石街道沿線には、桃林堂、板倉家住宅、西武百貨店八尾店、八尾市文化会館、楠根川、メロディアン本社工場、天台院、玉串川、山本八幡宮、恩智川、国道170号、八尾市立中高安小学校、近鉄服部川駅、服部川八幡宮、俊徳丸鏡塚、来迎寺、不動院、立石越、一元の宮、信貴生駒スカイライン、いくつかの寺院、奈良県道250号平群信貴山線、近鉄竜田川駅、平群町保健福祉総合センターなどがあります。

参考文献

武藤善一郎著「大阪の街道と道標」改訂版 (ISBN 4-88325-203-5)