立石隧道

立石隧道について

立石隧道（たていしずいどう）は、香川県の高松市と木田郡三木町を結んでいるトンネルで、総延長は119.7メートルです。地元の人々からは、近くの集落名にちなんで中村トンネル（なかむらトンネル）とも呼ばれています。

概要

このトンネルは高松市の牟礼町原と三木町井上を結ぶ手掘りトンネルです。自動車の通行は可能ですが、対向車同士の通行はできません。トンネル自体は旧道として利用されており、路面は舗装されていますが、周辺の道路は管理が行われています。

手掘りのため、トンネル内部は岩場が露出しています。このため、照明設備は備わっておらず、周囲は樹木が生い茂っているため、昼間でも薄暗い印象があります。また、前後数百メートルの区間は道がカーブしており、中型以上の車両の通行は難しくなっています。昔、このトンネルの三木町側には道祖神地蔵や牛の墓がありましたが、1990年に新道として整備された新立石トンネルに移転されてしまいました。今では高松市側の坑口に監視カメラや警告看板が設置されています。

歴史

立石隧道が位置する地域は、周囲が山に囲まれていて、交通の便が非常に悪かったため、このトンネルの建設が求められました。古くから地域の人々は、内陸部から瀬戸内海へアクセスするために、多様な経路を使っていましたが、いずれも便利とは言えませんでした。

地域の交通を向上させるため、立石隧道が建設されました。地元住民たちはトンネルの工事に協力し、集落の人々の絆が表れた出来事として語り継がれています。その後、トンネルの坑口にはコンクリートが施され、生活道路として一定の管理が行われてきました。

一時期、トンネルの竣工時期は不明とされていましたが、2016年に民家で見つかった竣工碑により、1943年（昭和18年）3月に完成していたことが判明しました。その竣工碑は現在、高松自動車道の近くに移転されて保管されています。

1990年には新立石トンネルが開通し、立石隧道は使用頻度が低くなりました。さらに2004年には台風23号の影響で高松市側のアクセス道路が土砂災害に見舞われ、約1年間通行止めとなるという影響も受けました。

路線データ

立石隧道は全長119.7メートルで、内訳は高松市側が76.1メートル、三木町側が43.6メートルです。また、限界高さは3.2メートルから3.5メートル、幅員は3.0メートルから4.1メートルとされています。道路は高松市と三木町の管理下に置かれています。

このトンネルは単なる交通手段に留まらず、地域の歴史やコミュニティの結束を象徴する重要な存在です。自然と調和した雰囲気の中、立石隧道は今も静かにその役目を果たしています。

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