立里荒神社

立里荒神社：高野山の歴史と信仰が息づく山岳神社

立里荒神社は、奈良県吉野郡野迫川村のほぼ中央にそびえる荒神岳(標高1260m)山頂に鎮座する神社です。正式名称は荒神社ですが、一般的には立里荒神社として広く知られています。正確な創建年代は不明ですが、西暦800年頃、空海が高野山を開創した際に創建されたと伝えられています。

空海と高野山開創の縁

『三宝大荒神略縁起』によると、空海は高野山の伽藍繁昌と密教守護を祈念し、板に三宝荒神を描いてこの地に祀ったとされています。これは、高野山建立にあたり、壇上の鬼門にも荒神を勧請したことに由来すると言われています。そのため、立里荒神社は三宝荒神を祀る神社として始まり、その後は高野山と深く結びついた神仏習合の宮として発展しました。明治初年までは宝積院と称し、高野山地蔵院末として鐘楼堂も備えていたそうです。しかし、明治時代の廃仏毀釈により宝積院は廃寺となり、仏像などは池津川に移され、現在の荒神社となりました。

崇敬を集める神々

立里荒神社では、誉田別命（ほんだわけのみこと）と火産霊神（ほむすびのかみ）を主祭神として祀っています。誉田別命は武神として、火産霊神は火の神、かまどの神として信仰されており、商売繁盛の神としても広く崇敬されています。加えて、立里荒神社は日本三荒神の一つにも数えられており、全国から多くの信仰を集めています。特に、火に関わる職業の方々や、高野山への参詣者から厚い信仰を集めているようです。

境内とアクセス

境内には、本殿の他に摂社である五社神社（天照皇大神、大山祇命、保食命、市杵島姫命、素盞雄命を祀る）、祈祷殿、参籠所、食堂などが整備されています。また、無料の大駐車場も完備されており、バス停や土産物店も隣接しています。駐車場から山頂の本殿までは、鳥居が続く参道を徒歩で約10分ほど登ります。

アクセスは、自家用車の場合は高野山から高野龍神スカイライン（国道371号線）経由で約6kmです。公共交通機関を利用する場合は、南海高野線で高野山駅まで行き、南海りんかんバスの予約制急行バス（土日祝日運行、平日は運休）で約40分、立里荒神前停留所で下車します。ただし、バスの運行状況は変更される可能性があるので、事前に確認が必要です。

まとめ

立里荒神社は、高野山との深い歴史的つながりと、火産霊神や誉田別命といった神々への信仰、そして雄大な自然に抱かれた神秘的な雰囲気を持つ神社です。高野山への参拝と合わせて、立里荒神社を訪れてみるのも良いでしょう。静寂な山中で感じる神聖な空気が、訪れる人の心を癒してくれるはずです。

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