竜宮城 (映画)

竜宮城 (The Mysterious Island)

『竜宮城』は、1929年にアメリカで制作されたSF映画であり、ジュール・ヴェルヌの名作小説『神秘の島』を基にしています。ルシアン・ハバードが監督を務め、大部分が二色法テクニカラーで撮影されました。この映画は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーによって部分的にトーキーとしてリリースされ、一部のシーンでは音声や音楽が同期されています。

あらすじ

物語は、ヘトヴィア王国の近くに位置する火山島を舞台にしています。この島は、科学者であり慈悲深い統治者ダッカー伯爵に支配されています。彼は娘のソニアと、その許婚で技術者のニコライ・ロジェと共に、迫りくる脅威に直面します。ファロン男爵は、ヘトヴィア王国を力で支配する存在であり、島に侵攻してくる様子が描かれています。ダッカー伯爵とロジェは、強力な潜水艦を建造し、島の防衛を試みます。

彼らは潜水艦を操縦し、ファロン男爵の攻撃から脱出を試みますが、ファロンは別の潜水艦で追撃します。彼らはついに海底にたどり着き、そこで恐竜や巨大なイカ、人間に似た異様な種族と出会う未知の領域を発見します。物語は、彼らがこの異世界でのサバイバルに挑む様子を描いています。

キャスト

この映画には、ライオネル・バリモアがダッカー伯爵役で主演し、ジャクリーン・ガッズデンがソニア役、ロイド・ヒューズがニコライ・ロジェを演じています。さらには、ファロン役のモンタギュー・ラブや、ミハイル役のハリー・グリボンなど、個性豊かなキャストが揃っています。その他にも多くの脇役が登場し、物語を彩ります。

制作の背景

『竜宮城』の制作は1926年に始まりましたが、様々な問題が生じ、公開までに数年を要しました。制作中には天候の影響や新たに登場したトーキー技術の波が影響し、映画の完成が遅れました。1927年にはモーリス・ターナーとベンジャミン・クリステンセンが監督に関与しました。その結果、1929年に最終版が完成しました。映画の中で描かれる海底人のデザインには当初の案があり、映画に登場するキャラクターに対してさまざまな改良が施されました。

物語の変遷

この映画は、『神秘の島』に登場するネモ船長の物語に少し依存していますが、独自のストーリーが展開されます。ネモに相当するキャラクターが最終的に死を迎える描写があり、ダッカー伯爵が中心となる物語が進行します。彼が潜水艦を建造し、裏切られた後の復讐心を描いています。

保存の努力

長い間、UCLA映画テレビアーカイブに保存されていた着色版が唯一残っているとされていました。しかし、2013年にジョージ・イーストマン博物館のデボラ・ストイバーがチェコで発見したフィルムは、その後の修復作業を通じて完全版を蘇らせました。2014年には新たに製作されたプリントが公に披露され、多くの映画ファンの前に姿を現しました。

この作品は、その魅力的なストーリーと革新的な技術により、映画史に名を残し、多くの観客に愛され続けているのです。

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