竜門社

竜門社について

竜門社は、渋沢栄一の理念に共感した経済人たちが集まり、互いの知識と徳性を高め合うことを目指した組織です。その活動は、2003年に渋沢栄一記念財団へと引き継がれ、現在もその精神は受け継がれています。

設立の背景と初期の活動

1886年（明治19年）、渋沢栄一邸に寄宿していた青年たちの勉学と成果発表の場として、竜門社は設立されました。命名者は渋沢栄一の旧師であり、義兄でもある尾高惇忠です。その名前は、鯉が滝を登り龍になるという中国の故事に由来しています。当初は、渋沢邸で学ぶ若者たちの集まりでしたが、渋沢栄一の活躍とともに、次第に経済界で活躍する人々が集まるようになり、会員数を増やしていきました。

財団法人としての活動

1924年（大正13年）、渋沢栄一が提唱した「道徳経済合一主義」のもと、経済人の知識と徳性の向上を目的とする財団法人となりました。講演会や談話会の開催、会誌の発行など、幅広い活動を展開しました。太平洋戦争中には活動を中断しましたが、戦後には再開し、渋沢栄一の伝記資料の編纂・刊行（1971年）や、史料館の開設・運営（1982年）など、その活動範囲を広げていきました。

組織の変遷

2003年（平成15年）、竜門社は渋沢栄一記念財団へと名称と組織を変更しました。初代理事長には、渋沢栄一の曾孫である渋沢雅英氏が就任しました。この組織変更は、渋沢栄一の理念を現代に継承し、より発展させるためのものでした。

竜門社の沿革

1886年（明治19年）：渋沢栄一邸にて、勉学と成果発表の場として「竜門社」が結成。初代社長は渋沢篤二、指導者は尾高惇忠。機関誌「龍門雑誌」を刊行。
1900年（明治33年）：渋沢栄一の還暦を記念し「青淵先生六十年史」を発刊。
1910年（明治43年）：渋沢栄一の七十歳祝賀会を開催。
1916年（大正5年）：渋沢栄一の喜寿祝賀会を開催。記念として林泰輔編「論語年譜」を発刊。
1920年（大正9年）：渋沢栄一の八十歳と子爵への陞爵祝賀会を開催。青淵文庫建設を発表。
1924年（大正13年）：「財団法人竜門社」となる。初代理事長は阪谷芳郎。
1925年（大正14年）：青淵文庫が竣工。
1928年（昭和3年）：渋沢栄一の米寿祝賀会を開催。斯文会編訳「国訳論語」を発刊。
1931年（昭和6年）：渋沢栄一が死去。
1933年（昭和8年）：渋沢本邸の曖依村荘が竜門社に寄贈。
1939年（昭和14年）：曖依村荘内に「日本実業史博物館」建設を計画。
1940年（昭和15年）：明石照男が理事長に就任。
1945年（昭和20年）：曖依村荘を政府に寄贈。
1946年（昭和21年）：「財団法人渋沢青淵翁記念会」を吸収し「渋沢青淵記念財団竜門社」となる。
1949年（昭和23年）：諸井貫一が理事長に就任。曖依村荘が返還され、一部を売却。
1954年（昭和29年）：渋沢栄一伝記資料の編集を開始。植村甲午郎が理事長に就任。
1964年（昭和39年）：酒井杏之助が理事長に就任。
1965年（昭和40年）：事務所を曖依村荘に移転。
1971年（昭和46年）：渋沢栄一伝記資料が完成。
1974年（昭和49年）：西園寺実が理事長に就任。
1982年（昭和57年）：竜門社付属渋沢史料館が開館。
1984年（昭和59年）：八十島親義が理事長に就任。
1997年（平成9年）：渋沢雅英が理事長に就任。
1998年（平成10年）：渋沢史料館本館を開設。
2002年（平成14年）：研究部が発足。
2003年（平成15年）：「財団法人渋沢栄一記念財団」に組織と名称を変更。初代理事長は渋沢雅英。

参考文献

渋沢史料館編『常設展示目録』渋沢史料館、2000年
渋沢史料館編『竜門社の歩み　青淵先生 想い続けて120年　企画展図録』渋沢史料館、2006年
渋沢栄一記念財団編『渋沢栄一記念財団の挑戦』不二出版、2015年
大谷明史『渋沢敬三と竜門社 「伝記資料編纂所」と「博物館準備室」の日々』勉誠出版、2015年

関連情報

渋沢史料館
渋沢栄一記念財団
旧渋沢家飛鳥山邸
渋沢篤二
渋沢敬三
渋沢雅英


竜門社は、渋沢栄一の精神を受け継ぎ、その理念を広く社会に伝える重要な役割を果たしてきました。その活動は、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。

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