明石照男

明石照男

明石照男（あかし てるお、1881年3月30日 - 1956年9月29日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家、銀行家です。岡山県和気郡英保村（現在の備前市吉永町）に生まれ、日本の金融界に大きな足跡を残しました。

生涯

1881年3月、明石照男は和気郡英保村で生を受けました。旧制岡山中学校（現在の岡山県立岡山朝日高等学校）を経て、東京帝国大学（現在の東京大学）に進学し、優秀な成績を修めました。その才能は早くから認められ、日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一に見出され、その三女である愛子の婿養子となりました。

大学卒業後、明石は欧米へ留学し、最先端の金融知識や経営手法を学びました。帰国後、第一銀行に入行し、その手腕を発揮。1926年に取締役に就任し、1928年には常務取締役、1932年には副頭取へと昇進しました。そして1935年、ついに頭取の座に就き、第一銀行を牽引しました。

1943年には、第一銀行と三井銀行との合併により誕生した帝国銀行の会長に就任し、日本の金融業界を代表する存在となりました。その間、1920年からは澁澤倉庫の取締役、1932年から1935年までは澁澤倉庫の取締役会長も兼務するなど、多岐にわたる事業を手がけました。

また、1940年から1949年まで財団法人竜門社の理事長を務め、渋沢栄一の思想の普及に尽力しました。1945年12月19日には貴族院議員に任じられましたが、1946年4月17日に辞任。その後、公職追放の対象となりましたが、1951年に解除されました。

公職追放解除後も、明石は第一線から退くことなく、渋沢青淵記念財団竜門社の常任顧問をはじめ、清水建設相談役、日本経済団体連合会顧問、日本経営者団体連盟顧問や世話役を務め、日本の経済界に貢献し続けました。

1956年9月29日、明石照男は75歳でその生涯を閉じました。墓所は谷中霊園にあります。

親族

明石照男の血縁者もまた、各界で活躍しています。長男の景明は日本銀行考査局長、商工中金理事、短資協会長などを歴任。五男の武和は味の素の常務を務めました。娘の喜久子の夫は第一ホテル社長の土屋計雄です。

著書

明石照男は、その知識と経験を活かし、数多くの著書を執筆しました。以下に主な著書を挙げます。

『明治銀行史』改造社、1935年。
『大正銀行史概観』東京銀行集会所、1937年。
『青淵渋沢栄一 思想と言行』渋沢青淵記念財団龍門社、1951年。
『三聖人の経済道徳観 断片集』渋沢青淵記念財団竜門社、1952年。
『日本金融史 (第1巻) 明治編』（鈴木憲久 共著）東洋経済新報社、1957年。
『日本金融史 (第2巻) 大正編』（鈴木憲久 共著）東洋経済新報社、1958年。
『日本金融史 (第3巻) 昭和編』（鈴木憲久 共著）東洋経済新報社、1958年。

参考文献

吉岡三平 監修『岡山人名辞典』 日本文教出版、1978年。

明石照男は、日本の金融界の発展に大きく貢献しただけでなく、後進の育成にも尽力しました。その功績は、今日においても高く評価されています。

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