竜閑川

竜閑川の概要

竜閑川（りゅうかんがわ）は、東京都中央区と千代田区にかつて存在した人工河川です。この河川は、明治時代まで存在し、日本橋川と接続しており、千代田区と中央区の区界に沿って北東に進み、浜町川、箱崎川、そして隅田川へと繋がっていました。この川の名前は時に龍閑とも表記されます。竜閑川は、明治時代の掘割工事の際に神田川との流路も開削されました。

歴史的背景

竜閑川の歴史は、1657年の明暦の大火を契機に始まります。この大火を受けて江戸の市中では大規模な防火対策が講じられ、約870メートルの防火堤が築かれました。天和3年頃には堤防の周囲には火除地が設定されていましたが、元禄4年（1691年）に町人たちの協力で浜町堀（後の浜町川）と繋ぐ掘割が新設され、これが竜閑川の起源となります。正確には神田八丁堀や白銀町堀とも呼ばれ、当時の日本橋と神田の境界を形成していました。

幕末である1857年には一度埋立てられ、竜閑川は姿を消しますが、1883年に東京市の水運が発達する中で再び掘割が復活し、浜町川が延伸される形で復興しました。しかし、戦後の1948年から1950年にかけて、ガレキ処理を目的とした埋立によって竜閑川は完全に消滅しました。

現在の姿

現在、竜閑川が存在していた場所は、僅か1-2メートル幅の狭い路地に変わっています。その名残はほとんど感じられませんが、交差点名にはその名が残されています。例えば、大和橋交差点、鞍掛橋交差点、龍閑橋交差点、今川橋交差点など、竜閑川や浜町川にかつて架けられていた橋の名前が今も存在しています。

名前の由来

竜閑川の名は、日本橋川河口近くにあった江戸城の接待役である井上竜閑の屋敷に由来しています。この屋敷があったため、その周辺に流れる川が竜閑川と名付けられたと考えられています。

主要な橋

竜閑川には、いくつかの重要な橋が架けられていました。

• - 龍閑橋: 日本最初の鉄筋コンクリート橋として知られています。
• - 白旗橋: 知名度が高い橋の一つです。
• - 今川橋: 地元の名主今川善右衛門によって架橋され、今川焼きの名前の由来とも言われています。

これらの橋は、それぞれ独自の歴史を持ち、地域の文化と結びついています。特に龍閑橋は、現存する橋桁が保存されており、当時の技術と景観の一部を今に伝えています。

結論

竜閑川は東京都心の歴史の一部として、その名を留めています。かつて水路として利用されていたこの場所は、今や路地として残り、往時の痕跡をわずかに残しているに過ぎませんが、交差点名や橋の名にその記憶が息づいています。江戸の防火対策や堀割の歴史を考えると、竜閑川は単なる河川以上の意味を持っていたと言えるでしょう。

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