童貞。をプロデュース

童貞。をプロデュース

『童貞。をプロデュース』は、2007年に松江哲明が監督した日本のドキュメンタリー映画です。一見すると若者たちの青春を描いた作品ですが、その裏には、現代社会における倫理観や表現の自由、そして映画製作のあり方を問いかける深いテーマが隠されています。

概要

本作は、加賀賢三、梅澤嘉朗、峯田和伸、カンパニー松尾といった個性的なキャストが出演しています。

公開と反響

2007年8月25日、池袋シネマ・ロサでレイトショーとして公開されました。当初は2週間限定の予定でしたが、公開から3日間で400人以上を動員するほどの人気を博し、上映期間が延長されるという異例の事態となりました。最終的には2,500人を超える観客を動員し、シネマ・ロサのレイトショー作品として新記録を樹立。その後、全国の劇場で拡大公開されました。2013年には、第5回沖縄国際映画祭で特別上映もされています。また、毎年の夏には池袋シネマ・ロサで定期的に上映されていました。

不祥事の発覚と告発

2017年8月25日、公開10周年を記念した舞台挨拶で、出演者の加賀賢三が、映画内での性行為が強要されたものであったと告発しました。この告発を受け、当初8月31日まで予定されていた上映は、26日以降中止となりました。監督の松江哲明と配給会社SPOTTED PRODUCTIONSの社長である直井卓俊は、連名で声明を発表し、加賀氏の告発内容を否定しました。

加賀賢三氏の再告発と監督・配給会社の謝罪

2019年12月5日、加賀賢三はガジェット通信の取材に応じ、性行為強要の具体的な状況や、関係者とのやり取りの詳細を語りました。そして、2017年の声明に対する反論を行いました。このインタビューがきっかけとなり、再び注目を集めた結果、2019年12月13日にSPOTTED PRODUCTIONSのホームページ上で、松江哲明監督と直井卓俊代表が謝罪文を掲載しました。松江監督は、撮影を強引に進めたことを認め、加賀の気持ちを無視して作品を優先したことを謝罪。直井卓俊代表も、2017年の声明で事実と異なる内容を発信したことを謝罪しました。

その後の経緯

2019年12月13日に公開された謝罪文は、後にSPOTTED PRODUCTIONSのウェブサイトから削除され、2020年1月21日に改めて株式会社スポッテッドプロダクションズ代表取締役直井卓俊名義で経緯報告とお詫びが掲載されました。2023年6月には、性行為の強要について語る出演者のインタビュー動画がYouTubeで公開されています。

まとめ

『童貞。をプロデュース』は、公開当初の熱狂的な支持から一転、出演者による告発、そして監督と配給会社の謝罪という、激しい変遷を経験した作品です。この作品を巡る騒動は、映画製作における倫理、表現の自由、そして被害者の声に耳を傾けることの重要性を、私たちに改めて問いかけています。

参考文献

「童貞。をプロデュース 松江哲明 [監督] インタビュー」『キネマ旬報』2007年9月上旬号、71-72頁。
“映画『童貞。をプロデュース』上映中止問題 (2017/08)／まとめのまとめ”. Togetter (2017年9月4日). 2023年5月31日閲覧。

外部リンク

童貞。をプロデュース - allcinema
童貞。をプロデュース - KINENOTE
* Dôtei. O purodyûsu - IMDb（英語）

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